1 / 7
鈴白姉妹と過ごすクリスマスイブ
今日はクリスマスイブ。私は前もって瑞葵ちゃんと向日葵ちゃんに連絡して、二人を私の家に招待する事を約束していました。せっかく可愛い女の子たちと知り合えたのでクリスマスパーティを一緒に過ごしたいなと思ったのです。とはいえ桃宮ちゃんはこの間クリスマス会に呼んでもらったし、シリアちゃんは先輩と過ごしたいだろうし、金剛院家の二人は他所のクリスマスセレモニーで忙しいようだし、江楠さんはきっと興味ないでしょう。下手すれば何かと理屈をこねてキリストをこき下ろす可能性すらあります。なので鈴白姉妹をご招待する事になったのです。 瑞葵ちゃんはアルバイトの予定があり、雑貨屋さんの宣伝でミニスカサンタになって町行く人に小さなプレゼント箱を渡していました。バイト上がりを迎えに行こうと思って早めに彼女の元に向かいましたが、綺麗な銀髪がサンタ衣装に映えてとても魅力的です。声を掛けられた人も思わず見とれてしまっているくらいでした。やがて瑞葵ちゃんの仕事が終わったので、私は瑞葵ちゃんに声をかけました。 「お疲れ様。向日葵ちゃんは先に私の家に来てるから、迎えに来たよ」 「わぁ、ありがとうございます!それじゃ、行きましょうか」 瑞葵ちゃんが自然に私の手に指を絡めてきたので、私もその手を握り返して一緒に私の家へ向かいました。 私の家で開いたクリスマスパーティは大したものじゃなく、私が作った料理やケーキ、スーパーで買ってきた白ワインなんかをお出ししただけです。玄葉や瑞葵ちゃんはおいしそうにもきゅもきゅと料理を食べてくれていますが、向日葵ちゃんはちょっと遠慮しているようです。申し訳なさそうな顔をしています。 「向日葵ちゃん、もしかしてこういう料理は嫌いだった?」 「あっ、いえ違うんです。こんな風にただ料理やお酒をご馳走になるなんて申し訳なくて。瑞葵はともかく、私はそんなに早渚さんと交流を深めていたわけでもないのに」 「何言ってるの、瑞葵ちゃんだけ招待するわけないでしょう。向日葵ちゃんと話した事もないなら呼ばないだろうけど、ちゃんとした知り合いじゃない。向日葵ちゃんだけ呼ばなかったら、私は冷血で礼儀知らずな男になっちゃうよ」 ただ、二人のお父さんに関してはさすがにお呼びする勇気はありませんでした。クリスマスの赤が血の赤になってしまう。 「ところで、二人のお父さんは今日も仕事なの?」 「はい、青森に泊りがけで出張に行ってます。昨日部長さんに言われたとかで」 「お父さん、出掛ける時の目つき凄かったですよ。『娘と過ごすクリスマスを奪った部長はいつか殺してやる』って顔してました」 ・・・出張に行ってくれてて良かった。じゃなかったらその殺意、私に向いてたって事じゃん。 「凪さん、お父さんの話はいいじゃないですか。私はお父さんが出張行ってくれてラッキーだと思いましたよ。だってそうじゃなかったら凪さんの家にお泊りなんてできませんし」 ワインを飲みながら、瑞葵ちゃんがそう発言すると、向日葵ちゃんも頷いて同意を示します。 「そうね、お父さん絶対許さないもん、男の人の家に泊まるとか。でも早渚さん、本当にご迷惑じゃないですか?」 「うん、大丈夫だよ。うちはゲストルームもあるし。二人とも、お泊りセット持ってきたでしょ?もし寝る用の服が無いとかだったら、玄葉に貸してもらうけど」 「ええ?お兄、それは難しくない?背丈はいいとして、その・・・」 玄葉が向日葵ちゃんの胸に目をやります。ああ、玄葉はそう言えば向日葵ちゃんの胸については知らないのか。私は小声で玄葉に耳打ちします。 「玄葉、心配いらないよ。向日葵ちゃんの胸はパッドだから、本当は瑞葵ちゃんと同じくらいの大きさなんだ」 「早渚さん?今私の胸の話をしませんでした?」 向日葵ちゃん地獄耳すぎるな!今の聞こえたの!? 「ごめんなさい」 「気を付けて下さいね。今は私もお酒入ってるんで、早渚さんと言えど手加減できないかも知れないですよ」 そんな風な話をしながら私たちは楽しい食事を終えました。入浴は全員お酒を飲んでいるので、うっかり血行が良くなって倒れたりしないように、瑞葵ちゃんと向日葵ちゃんペア、私と玄葉ペアでそれぞれお風呂に入りました。その後、瑞葵ちゃん達をゲストルームに案内した後、私と玄葉も自室に戻ります。ただ、この時私はうっかりしていました。部屋のドアにバリケードをしておくんだったなぁ・・・。