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【新入生】エターナルアイドル『清廉(セイレーン)』
前回は最も歴史の長い『vamℙrism(ヴァンプリズム)』の紹介をさせてもらったが、今回は逆に結成間も無いエターナルアイドルの新入生と言える『清廉(セイレーン)』を紹介させてもらう。 『清廉』はマーメイドたちによって構成されたフロウプロ5番目のチームであるが、実は構想は初代社長の時代から存在していた。『vamℙrism』の活動が軌道に乗った頃に、マーメイドたちの方から「自分たちもアイドルをやれないでしょうか」と打診があったのだ。初代社長も歌の得意なマーメイドをアイドルとして起用するのは大賛成だった。しかし、初代社長の時代はマーメイドをアイドルとして活動させるのには色々と問題があったのだ。 まず、マーメイドという種族の特性上どうしても彼女たちの活動領域は遊泳できるほどの水上・水中に限定される。そのため、彼女たちのライブを開くためにはたくさんの船を出して客席代わりにするか、巨大な水上アリーナを建設する必要性があった。しかしどちらも多額の費用が掛かり、起業していまだ『vamℙrism』の活動実績しかないフロウプロには重い出費だった。ビーチを会場代わりにする案もあったが、オープン過ぎてライブ客ではない者がタダ見する事を避けられない問題があったため見送られた。 そして最大の問題は、当時のマーメイドたちはトップレス文化が主流だった。つまり、ライブというエンターテインメントとして提供するには、マーメイドたちの姿は性的すぎた。美しい女性が乳房を隠すことなく歌い踊るとなれば、その姿を大衆に向けて発信するなどできるわけがない。世の女性からの批判と世の男性からの邪な視線が集まる事が容易に想像できた。この点はマーメイドたちも初代社長も大いに悩んだ。 我々は泳ぐ際、服を全て脱ぐか下着のみの姿になって泳ぐが、下着も長期間の水中活動には耐えられないのだ。水を吸って重くなり、生地も海水で痛んでいく。女性用下着の締め付けるような着用感も、マーメイドたちにとってはひどく不自然で受け入れがたい不快感があった。まして通常のアイドル衣装など以ての外である。装飾の多いアイドル衣装は水を吸えば非常に重く、フリルも垂れ下がってみっともない姿になってしまうからだ。長年の間、フロウプロとマーメイドはこの問題に頭を悩ませ、色々な案を試してはみたものの、中々進展は得られなかった。一番マシだったのが『貝殻で乳房を隠すのはどうか』というものだったが、これも激しい踊りやローテーション時の遊泳で貝殻が外れてしまうのでろくに動く事ができず、アイドルらしいパフォーマンスができなかったのだ。 しかしついに近年、コネサンス魔法学園に所属する『ヒマリ・インコーダ』が発明した『水着』が登場した。これまでにない素材とデザイン性で、『水中での活動に向いている上に可愛い服』というニーズを完璧に満たしたこの水着は、マーメイドの間で社会現象を引き起こすほどヒットした。当然、凍結していたマーメイドアイドルのプランも動き出す。来るべき日に備えてレッスンだけはしていた候補生たちが集まり、初代社長が見る事は叶わなかったマーメイドによるアイドルチーム『清廉』がようやく結成された。この一件でヒマリ・インコーダは『清廉』結成の立役者としてフロウプロおよびマーメイドから多大な感謝を受けた。ちなみにチーム名の『清廉』というのもフロウプロが感謝のしるしとしてヒマリ・インコーダにチーム名命名を依頼した結果だという。彼女自身も魅力的なスタイルを持つ美少女ではあるが、ヒューマンであるためにエターナルアイドルにはなれない事をフロウプロや『清廉』ファンは残念がっているという話だ。 そんな経緯で結成に至った『清廉』だが、今はまだ結成間も無いという事もあって大型ライブは開催されていない。ただしミニライブは好調であり、元々歌が得意なマーメイドという事もあり人気の伸びは非常に大きい。以下にデビュー曲である『海の囁き』を紹介しよう。 https://suno.com/song/8334b4cb-380c-4b2d-be12-78b3335a48bb 雄大で穏やかな海の優しい包容力をフォーカスした内容になっており、つらい事があって帰ってきた日の夜にふと聴きたくなるようなチルアウトミュージックとして完成している。やはりマーメイドらしく『海』を主題とした歌を提供してきたが、夏の爽快なビーチや冬の荒れた波など、海には様々な顔がある。どんな方向性の歌を出してくれるのか、次の新曲が待ち遠しい。 『清廉』はこれからもずっと、海のような様々な表情を見せながらファンの傍らにあり続けるだろう。 ※『エターナルアイドル』に関する楽曲は、『Microsoft Copilot』にイメージを伝えて作詞してもらったものを一部編集しています。