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【ガム】お花見のお弁当作り

※お題の「ガム」は「ギンガムチェックエプロン」で強引に達成しました。 ●早渚家 私はキッチンに立ち、エプロンのひもを後ろで結ぶ。お兄はダイニングテーブルでにこにこして私を見ていた。 「お兄、もうちょっと待っててね。今おいしい愛妻弁当・・・愛妹弁当?を作ってあげるから」 「ワーイヤッター」 今日はお兄が花見会場に写真を撮りにいくので、私がお弁当を作ってあげるのだ。彩りも味も愛情も、何一つ欠かしてはならない。腕が鳴るというものだ。 「ほっぺたが落ちるくらいおいしいわよ」 「あはは、玄葉ちゃんのお弁当なんて食べたら物理的にほっぺたが落ちちゃうんじゃない?」 失礼な事を言う幽霊に塩を叩きつけ、私は慣れた手際でお弁当を完成させていく。出来栄えに満足していると、不意にお兄が後ろから抱きしめてきた。 「オベントウモイイケド、ソレヨリクロバヲタベチャイタイナー」 「えっ、お、お兄?朝からそんな大胆な・・・」 私がうろたえている間に、お兄の手は私の服にかかっていた。 「ま、待ってお兄!こんなとこじゃダメ!」 叫んだ瞬間、目が覚めた。朝日が窓から差し込んでいる。・・・夢か。そりゃそうか。 「私、料理壊滅してるからな・・・ていうか愛妹弁当ってなんだ。我ながらアホすぎるし、そもそもお兄の声のトーンもおかしいし。あーあ、朝から変な夢みたわ」 ベッドを出て身支度を整えてダイニングへ向かうと、お兄がエプロンをしてキッチンに立っていた。そうそう、これでいいんだよ。料理はお兄の担当だもんね。 「おはよう玄葉。朝食はクロックマダムを作ったから、良かったら食べてね。他に食べたいものがあったら言ってくれたら作るよ」 できた兄だ。私はお兄特製のクロックマダムをいただく事にして、お兄が何をしているのか見てみる。お弁当を作っていた。 「お兄、今日はどこか行くの?」 「公園で桜が咲いてるでしょ。桃宮ちゃんと橙臣ちゃんの二人と一緒にお弁当持ち寄ってお花見するんだ。二人は中学生だから夜のお花見はできないけど、お昼だったら大丈夫だしね。本当は1月の中頃にさ、橙臣ちゃんとお弁当作り合いっこしようかって話をしたんだけど、何だかんだ忙しくて時間が合わなくてねー。でも今日のお花見で都合がついたから、丁度いいかなってお弁当持ち寄り形式にしたんだ」 やばい兄だ。当たり前に女子中学生とピクニックデートの約束してんぞこいつ。やっぱり距離感バグってるだろ。 「玄葉もさ、もし予定が無ければ来るかい?」 「そうね・・・じゃあ行くか」 33歳の男が赤の他人のJC二人と花見なんて、下手すりゃ通報モノだ。私がいれば多少誤魔化しがきく。 「それなら、玄葉の分もお弁当作り足さないとね」 「えっ、いやそれくらい自分で」 「駄目。お弁当持ち寄り形式って言ったでしょ。あんまり言いたくないけどさ、桃宮ちゃんや橙臣ちゃんが玄葉の作ったお弁当に手を付けたら救急車呼ぶ事態になるよ」 否定できない。自分一人が食べるなら自分で作れるけど、他人が口をつける可能性があるなら確かにお兄に任せるべきだろう。 「あはは、玄葉ちゃんのお弁当なんて食べたら物理的にほっぺたが落ちちゃうんじゃない?」 「夢と同じこと言うな」 いつの間にかキッチンにいた幽魅さんに塩を叩きつけて、のたうち回らせてやった。 ●橙臣家 私こと橙臣恋織は、大量の野菜と格闘していた。弥美がそれを微笑みながら見守ってる。 「恋織ちゃん、今日は野菜だらけだね?お肉は使わないの?」 「使うけど!早渚、私がお肉好きだって知ってるでしょ?きっといっぱいお肉料理詰めてくれるだろうから、ちょっとバランス考えて野菜中心なのよ」 というか、あんまり肉々しい弁当を持っていくと女子力を疑われかねない。だからこうしてザクザク野菜を刻んでるのだ。 「弥美、あんた見てないで自分の弁当つくったらどうなの?」 「恋織ちゃんが気合入ってそうだから、邪魔しちゃ悪いかなぁって。恋織ちゃんが作り終わったら私も作るー」 特に気合なんか入れてないんだけど。ああもう、あのニヤニヤ笑い腹立つわ。 「言っておくけどね、私は早渚のために弁当作ってるんじゃないんだからね!持ち寄るって約束だから仕方なくなんだから!」 「何も言ってないのにー」 「すげぇニヤニヤ笑ってて何言ってんだ!もう」 カットした野菜を炒めながらも弥美との言い合いは止まらない。何だかんだと朝から様子を見に来てくれるあたり、優しい友人であるのは間違いないんだけど、いかんせん恋愛脳になってきてるんだよな。 「よし次」 一品出来たので、次の料理に取り掛かる。その様子を見ながら、弥美が面白そうに呟いた。 「恋織ちゃん、いいお嫁さんになるね」 「そうね。料理が下手な男の人からしたらありがたい存在かもね」 「ぐぬ」 弥美がちょっと悔しそうに押し黙った。多分『早渚なんかの嫁にならないわよ』みたいな返しを期待してたな。流石に学習するっての。 「・・・あー、そう言えば鮫島君って料理できないんだっけ?」 「なんで今鮫島が出てくんのよ」 クラスの男子その1みたいなモブキャラの名前出してくんな。 「最近恋織ちゃんによく話しかけに来てんじゃん。きっと恋織ちゃんに気があるんだと見たね」 「ねーわ。あいつ巨乳派でしょ。・・・誰が貧乳よ!」 「えー、恋織ちゃん私よりは貧乳じゃん?」 「食べただけどんどんでかくなる、あんたみたいな乳の化け物と比べるな!」 体脂肪が全部胸にいくの反則でしょ。弥美はいい奴だけど、そこだけは一生許さないと思う。 「・・・ね、恋織ちゃん。凪おじさん、お弁当おいしく食べてくれるといいね」 「・・・」 せっかく作るんだから、そりゃ喜んでもらう方が嬉しいけど。下手に同意すると何言い出すか分からないので、私は料理に集中する事にした。

コメント (8)

thi

あのトーストはクロックマダムというのですね

2025/03/29 14:05

早渚 凪

おしゃれな朝食ではありますが、カロリーは少し高めです

2025/03/29 14:39

Jutaro009
2025/03/29 12:58

早渚 凪

2025/03/29 14:38

五月雨
2025/03/29 12:26

早渚 凪

2025/03/29 14:38

杖先なぎ
2025/03/29 11:18

早渚 凪

2025/03/29 14:38

サントリナ
2025/03/29 05:48

早渚 凪

2025/03/29 14:38

白雀(White sparrow)

いろいろあってからようやくいつもの日常が戻ってきた感がありますね。日常というにはちょっといろいろバグってる環境ですがw

2025/03/29 01:03

早渚 凪

当たり前に幽霊とかいますしねw あとは最近『ミリシラ様の異世界百景』やってないので、お題でいけそうな時は作らないといけない気はしてます

2025/03/29 14:38

もみ
2025/03/28 22:30

早渚 凪

2025/03/29 14:35

うろんうろん -uron uron-
2025/03/28 15:23

早渚 凪

2025/03/29 14:35

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 全年齢~R15を中心に投稿します。現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っています。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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