金剛院流西瓜割
晶さんのプライベートビーチを訪ねると、何やら『パスッ、パスッ』という軽快な音が。音の出所を探していると、ライフル銃を構えた晶さんを見つけました。 「あら、早渚さん。ごきげんよう。射線上に立たないように気を付けて下さいませ」 ライフル銃が狙っている先を見てみると、何やら赤いものが飛散しています。こんなビーチで狩猟?・・・と思ったのですが、よく見ると粉々に爆散したスイカのなれの果てでした。 「浜辺でスイカを割る遊びがあると聞き及びましたので、わたくしも嗜もうと思い立った次第ですわ。ところが、目隠しをして棒を振り下ろすスタイルは、友人無しでやっても面白みがない事に気が付きましたの」 話をしている間も、晶さんはライフルの銃口の先から視線を逸らしません。不意に、スイカが宙を飛んできました。 『パスッ』 晶さんのライフルが火を噴き、スイカが弾け飛びました。スイカの出所を見ると、使用人さん達がスイカ山盛りの台車の周りに立ち、時折スイカを海に向かって投げ込んでいるようです。それを晶さんが撃ち落としているのでした。 「このようにクレー射撃スタイルなら一人でも楽しめますわ。ああ、ご安心ください。スイカは後程全て食しますので」 もう何から突っ込んだらいいのか分かりません。お金持ちの考える事は我々には理解が及ばないといったところなのでしょうね。とりあえず晶さんが楽しそうで何よりです。