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【わたあめ】シリアとわたあめ
それは遠い記憶。父と母に連れられて夏祭りを訪れた少女の思い出。 母「シリア、わたあめ食べながら歩いちゃダメよ。転んだりしたら危ないからね」 娘「はーい!」 父「シリアは本当にわたあめが好きだなぁ」 娘「甘くてふわふわで好きー!パパもふわふわ好きでしょ?」 父「おや、どうしてそう思うんだい?」 娘「だってー、ママをもみもみするとふわふわで幸せって言ってたもん」 母「・・・あなた、ちょっといい?」 父「待ちなさい。お腹の事じゃないんだ。そこよりちょっと上のところだ」 母「そういう問題じゃないの。小学生の娘に何を聞かせてるの」 娘「ママ、怒った・・・?シリアのわたあめあげるから怒らないで」 母「ありがとう。シリアは優しい子ね」 娘「えへへー。シリアね、大きくなったらわたあめ屋さんになって皆を『にこにこ』にするんだ!」 父「ほほう。皆の笑顔も大切だけど、そのためにはまず何よりも、シリアが幸せじゃないといけないね」 母「そうね。怒っていたりつまらなさそうにしている人からわたあめをもらっても、何だかもやもやするでしょう?まずはシリアが幸せになるのよ?」 娘「うん!」 それは遠い記憶。父と母に連れられて夏祭りを訪れた少女の思い出。 赤に穢れる前の、少女の無邪気な夢。