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【わたあめ】シリアとワタアメ
赤い雨が降っている。白銀の一閃の後を追うように、高く噴き上がり彼女へ降り注ぐ赤い雨。 もう幾度となく浴びてきた、温かく鉄の臭気を孕んだその飛沫に酔いしれ、口角が上がる。 どこまでも罪深くおぞましい、人として最低に穢れたその行為こそが“死神”の渇きを癒す美酒であった。 ・・・“死神”は善人を裁かない。悪人の血潮で無ければその滾りを鎮められない。 それは彼女の血筋に受け継がれた“死神”としての嗅覚なのか。彼女は強い悪意を持つ人間を判別する事に長けていた。 魅入られたならば、最早逃れる術はない。抗おうとも逃げようとも、殺伐の銀が悪しき者の命を絶つ。 そうして今日も、雨が降る。赤い、赤い、臓物(ワタ)の雨が。 ※直接的に臓器や体の一部を描写するとR-18Gに該当すると思われるので、血流表現のみにとどめてあります。