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玄葉と寝床で
朝目を覚ますと、隣にほぼ裸の玄葉が一緒に寝ていました。・・・あ、あれ、おかしいな。昨夜お酒飲んだっけ・・・?そんな事を思っていると、玄葉がそっと目を細く開けました。 「・・・お兄、やっと起きた」 やっと起きた・・・?あ、よく見れば玄葉は眼鏡をかけています。先に目覚めていたのか。 「ねぇお兄・・・昨日の続き、する・・・?」 そんな事を言いながら、玄葉は私の肩に手を回してきます。そのどこか期待するような視線に抗えず、私は玄葉に覆いかぶさっていきました。 『ピピピピピ!』 目覚ましのアラームが鳴り響きます。その途端、組み敷いていた玄葉の姿がぼやけて消え、いつもの目覚めの風景が目の前に広がりました。どうやら、目を覚ましたと思ったところから夢だったようです。 「・・・ついに見たかぁ、こういう夢」 まあ幽魅の夢を見た時と違って、今回は原因がよく分かります。今日にでも言っておくか。 「ふぅ・・・」 ところ変わって午後の浴室。浴槽に浸かった私が見つめる先では、玄葉が体を洗っています。どう考えても、今朝の淫夢の原因は最近の恒例になってる『一緒にお風呂』でしょう。 「ねえ玄葉」 「何?」 体を流していた玄葉がこっちに視線を向けます。前は脱衣所で会っただけでビンタされたのに、図太くなったなぁ・・・。とりあえず、用件を伝えないと。 「そろそろさ、一緒にお風呂入るのはやめよう?」 「む・・・まあ、お兄がそうしたいならやめてもいいけど・・・結構今更じゃない?」 「そう言われるとそうなんだけどね、やっぱりこの年齢で一緒にお風呂はマズいでしょう」 「お互いにその気がないなら、マズい事には発展しないと思うけど。それとも何、お兄は妹の体に欲情してるの?」 羞恥心を煽る聞き方してくるなぁ・・・でもここで引いたら、またズルズルと一緒にお風呂に入り続ける事になります。思い切って言うしかないな。 「うん、ムラムラする。そういう事したくなる。今朝なんか玄葉を抱く夢まで見ちゃった」 それを聞くと玄葉は、ようやく私に向けていた体の向きを変えて手で隠します。目を見開いてちゃんと恥ずかしがってくれてるようです。 「私もほら、30代になってまだ未経験だからさ。妹とはいえ目の前に裸の女の子がいたらそりゃ意識しちゃうよ。何度も一緒にお風呂入るくらい気を許してくれてるなら、なおさらだよ」 「・・・うぅ、分かったわよ。今日で最後にする」 ちょっと言い過ぎたかもしれない。おかげで兄として何か大切なものを失った気もしますが、とりあえずこれで一緒にお風呂は今後回避できそうです。 「・・・今日は先に上がるわ。でもお兄、また一緒にお風呂入りたくなったり、抱きたくなったらちゃんと言ってね?・・・イヤ、とは言わないから」 玄葉は脱衣所に出ていくと、私に向き直ってそんな事を言いました。そして私が何か返事をする前に、浴室と脱衣所を隔てる扉を閉めてしまいます。・・・あれ?一緒にお風呂に入るのはこれでやめられたはずなのに、何か余計にマズい方向に踏み込んだ気がする・・・。