スイーツの小悪魔

桃宮ちゃんのおかげでスイーツフェアのポスター撮影も上手くいき、明日から風景写真の方に集中しようかと思いながら準備をしていた夜の事です。突然、私のPCに桃宮ちゃんからメールが届きました。Zipファイルが添付されていて、件名は『凪おじさん、今日はありがとう』とあります。何だろうと思いながら、とりあえず本文を読んでみる事にしました。 『凪おじさん、今日の撮影本当に楽しかった！もしまた私を撮りたくなったら遠慮なく連絡してね！いつも行けるかはわかんないけど、誰か友達を紹介できるかも知れないし！ それで、今日のお礼に自撮りを送りました！家に帰ってから、もらったスイーツを並べて、あの撮影の時みたいにして撮ったよ。凪おじさんはこういう風なのの方が好きかなーって。あ、他の人に見られるとハズいから誰もいないところで見てね。こんなの、凪おじさんにしか見せられないんだから・・・ね？』 すごい嫌な予感がします。一応、部屋の中に幽魅がいないか確認し、玄葉の気配が近くにないかを確かめた上で、恐る恐るZipファイルを解凍しました。 中に入っていたのは3枚の画像ファイルでした。そしてそれに写っているのは、いずれも胸をさらけ出した桃宮ちゃん・・・！ 駄目だ、見てはいけない！そう思いますが、どうしても視線が吸い寄せられてしまいます。と、そのプレビュー画像に出ている小さな写真にいずれも違和感があるような気がして、画像ファイルを開いて全画面で見て見る事にしました。 「これは・・・ボディスーツ？いや違う、写真を修正してるのか」 プレビューではよく分かりませんでしたが、全画面で見ると、桃宮ちゃんのバストトップにはあるべき突起がありません。恐らく、撮った後にそれを画像加工ソフトか何かで修正して、大事なところを隠したのでしょう。見えなくて良かったような、残念なような・・・。そしてメールの本文には続きがありました。 『見れると思った？残念、まだ凪おじさんには見せてあげられないかなー。もっと仲良くなったら考えてあげるかも？なんちゃって！』 まったく、なんて子だ。大人の男をこんなやり方でからかうなんて。まあ、直接面と向かった状態でスカート持ち上げる子よりはまだマシか・・・。いやいや、どっちにしろ駄目だろう。女神かと思ったらとんだ小悪魔でした。 『PS　もらったスイーツは全部おいしく食べたよ！どれもおいしかったね。ねぇねぇ、凪おじさんは写真に写ってる中だとまず何から食べたい？』 そんなの決まってるでしょう。決まってるけど、言ったら社会的に終わる。何か別の回答をしなくてはならないが、このボールみたいなスイーツ何て言うんだ・・・？名前が分からない。何か分かるスイーツは・・・あ、サクふわ食感のマカロンがある。これで行こう。 『ふわふわのマシュマロかな』 返信、と・・・あれ。あれ！？マカロンって打ったつもりがマシュマロって書いてある！？これもしかしてかなりヤバくないか！？まずい、早く正しい内容で送りなおさないと、ってもう返信きた！早い！ 『凪おじさん、これマシュマロじゃなくてマカロンって言うんだよ？もっとスイーツの事勉強しなさーい！』 ・・・助かった。ド級のセクハラ、ドセクハラをしてしまったかと。 「それにしても、人が邪念を振り払おうとしてる時にこんなけしからん写真を送ってくるなんて」 こんなメールは早く消してしまおう。もらった画像をCDに保存して、念のため予備でもう一枚CDに保存して、メール削除、と。 これでよし。