幽魅のお詫び
虎事件の翌日、幽魅が訪ねてきました。いつものような元気さはなく、しょんぼりとしています。 「凪くん、昨日は本当にごめん・・・一歩間違えば、凪くんも幽霊の仲間入りだったよね。私、最初にちゃんと凪くんに虎の事確認するべきだったのに」 玄葉に怒られたのが相当堪えたようです。まあ、虎の侵入は幽魅のせいではないので、幽魅がそんなに悪いかというとそうでもない気もします。 「いいんだよ。私も私で幽魅の格好より先に虎の事をツッコんでれば、すぐに虎が本物だって分かったはずなんだから」 「で、でもそれは私が普段から調子に乗って色々変身してるから凪くんも誤解しやすい状況だった訳だし・・・だから、だからね?」 幽魅はそっと自分の胸を腕で覆うと、上半身の服を消してしまいました。 「か、幽魅!?」 「お詫びしようにも私、お金とか無いし・・・さ、触らせてあげたり先っぽ見せてあげたりはできないんだけど。こ、ここまでで良ければ・・・気が済むまで見て、いいよ・・・?」 羞恥に頬を染め、私から少し目を逸らした幽魅のいじらしい姿に、私は普段じゃれあっている時には感じられない『女』を感じてしまい、心拍数が上がるのが分かりました。思わず生唾を飲み込むと、幽魅もその音に気付いたようでいっそう頬を赤くします。 「うう・・・私、記憶は無いけど彼氏持ちだからこういう事した経験あるかもって思ったけど、いざやってみたらすごい恥ずかしいよぉ・・・絶対これ生前未経験だよぉ・・・な、凪くん。これって浮気になるのかなぁ・・・?」 「ど、どうなんだろう・・・彼氏さんも亡くなってるから浮気にはならなそうな気もするけど・・・」 お互い何かしゃべってないと間が持たないようで、しかし会話にも集中できずに時間が過ぎていきます。私は幽魅の胸から目が離せないでいるし、幽魅も私の視線を感じて時折恥ずかしそうに身震いをします。そうして十数分も経った頃。 「あの・・・凪くん。ごめん、そろそろ私、腕が疲れてきちゃった・・・」 ついに、幽魅がそんな事を言いながら片腕を下ろしてしまいます。私が「もうおしまいにしていいよ」と一言言えばこの時間は終わるのに、それが言えないままでいました。幽魅の方も、服を元に戻せばいいのに、この状況にそこまで頭が回らないのか、どこかぽーっとした表情です。そして、残ったもう一つの腕も少しずつ下がって 『ピピピピピ!』 目覚ましのアラームで、私は目を覚ましました。ぱちっと目が覚めたのですが、何が起きたのか分からず、私はしばらくベッドの上でぼーっとしていました。 「夢・・・」 それを口にした瞬間、猛烈に顔が赤くなるのを感じました。何て夢を見ているんだ私は。欲求不満なのか!?夢の中とはいえ、幽魅にあんな事をさせてしまうなんて! 「駄目だ、これは駄目だ。こんなの幽魅に申し訳なさすぎる・・・!」 スマホを手に取り、今後の予定を確認します。今度モデル撮影が一件入っていますが、それが終わると少し日時が空いています。 「たまには遠出して、風景写真を撮りにいこう。きっと最近女性を撮影しすぎているんだ。戒めねば」 ちなみにその日訪ねてきた本物の幽魅は、まったく虎事件の事は悪びれていませんでした。安心して胸をなでおろす私の事を、幽魅は不思議そうな目で見ていました。 ※幽魅の表情がすごく好みな感じに生成されたので投稿してしまいました。このくらいの羞恥顔が好きなんです。ただ、さすがにちょっとエピソードがえっちすぎるかとも思ったのですが、この絵につける健全なエピソードなんて浮かびませんでした。ちなみに本来は、虎柄ビキニから元の服に戻るシーンになる予定だったものです。結果が御覧の通りなので本編の方からは元の服に戻るシーンは省かれました。