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鈴白姉妹と過ごすクリスマス
25日の朝、二日酔いも無くすっきりと目が覚めました。カモミールの良い香りがしていたので、それでリラックスできたのでしょう。・・・ん?私のベッドの中、何かあるな? 「!?」 毛布をめくって見ると、そこにはネグリジェ姿ですやすや眠っている瑞葵ちゃんの姿が!えっ、どういう事だろう!?私昨日瑞葵ちゃんを連れ込んだ覚えなんかないし・・・。 「と、とりあえず状況を確認しないと・・・」 私はまずスマホを見てみました。瑞葵ちゃんからのメッセージは無し。って事は勝手に来たのかな?次に、私は瑞葵ちゃんを起こさないように注意深く彼女の体を観察していきます。着衣の乱れや体液の痕跡が無いかなど、胸元や足の付け根は特に良く見ましたが、とりあえずは何もありません。どうやら一線は超えてない様子です。 「よ、良かった。いや良くないな。瑞葵ちゃん、いつの間に私の部屋に来たんだろう」 私の部屋には鍵がかかっていないので、夜中ゲストルームからお手洗いに行った帰りに間違えたとかかな?いやでも、そんなに間違うような間取りじゃないし。じゃあやっぱり夜這いかなぁ・・・。 「凪さん、メリークリスマスです」 「うわ!?」 気付くと瑞葵ちゃんが目覚めていました。こちらを色っぽい視線で見上げています。これ、お酒が残ってるとかじゃなさそうだけど。 「瑞葵ちゃん、おはよう。あの、何で私のベッドで寝てるのかな?」 「ふふ、クリスマスプレゼントです。私の事、好きにしていいですよ?」 いやいやいや、何言ってるんだこの子。マズいだろう、色々と。 「ほら凪さん、おねーちゃん達が起きてくる前に早く。今なら何でも言う事聞いてあげますよ?」 「な、何でも・・・?」 私は生唾を飲み込みました。そういう事なら、望み通りにしてあげるか。 「わ、分かったよ。じゃあまず、目隠しさせてね」 「い、いきなり目隠しですか?凪さん、意外と大胆です・・・」 クローゼットを開けて黒いネクタイを取り出した私は、それを瑞葵ちゃんの目に巻きつけました。女の子座りの姿勢になった瑞葵ちゃんは、ちょっと不安そうです。 「それから、手は後ろに回してね。軽くだけど、ロープで縛るから」 「縛るんですか!?わ、私どうなっちゃうんでしょう・・・」 瑞葵ちゃんの手を後ろに回させて、キャンプ用品のロープで緩めに縛っていきます。これで瑞葵ちゃんは視界と両腕の自由を奪われた事になります。 「あ、あのあの凪さん・・・!これだと、何をされるか分からなくてどきどきするので、触るときは触るって言ってくださいね・・・?」 「うん、大丈夫。優しくするから」 私は瑞葵ちゃんにベッドに仰向けに寝るように指示します。瑞葵ちゃんは素直に言う事を聞いて、ベッドに寝てくれました。よし、始めるか。 「じゃあ瑞葵ちゃん、今から触るよ?」 「は、はい・・・お願いします」 瑞葵ちゃんの許可が出たので、私は彼女の体に毛布を掛けました。そのまま、瑞葵ちゃんを転がして毛布を巻きつけていきます。 「えっ、えっ、えっ!?な、凪さん!?」 瑞葵ちゃんがミノムシ状態になったので、私は毛布ごと瑞葵ちゃんを抱え上げました。そのまま部屋を出て、ゲストルームへ向かいます。 「な、凪さーん!どこに連れていくんですかー?」 その質問には答えず、私はたどり着いたゲストルームの扉を足でノックしました。すると、中から向日葵ちゃんが顔を出します。 「おはよう、向日葵ちゃん。言いつけ通り瑞葵ちゃん連れてきたよ」 「ありがとうございます早渚さん。ご迷惑おかけして申し訳ありません」 「えっ、おねーちゃん!?ど、どういう事ですか凪さん!?」 ミノムシ瑞葵ちゃんをゲストルームのベッドに下ろすと、私は瑞葵ちゃんに説明してあげます。 「うん、私のスマホにメッセージが来てたんだ。向日葵ちゃんから」 「もし瑞葵が夜這いをかけるような真似してきたら、どんな手を使ってもいいのでゲストルームに送り返して下さいってお願いしておいたの」 「お、おねーちゃんひどい!」 いや、これは瑞葵ちゃんが悪いでしょう。さすがにやり過ぎです。私だって男なので、好きな女の子に同衾されたら我慢できる自信はないので。こうなる可能性があるのは予想できたはずで、ドアにバリケード作っておくのが正解だったのでしょうが、酔っていてそこまでできなかったのが悔やまれます。 「で、折角瑞葵ちゃんが何でも言う事聞いてくれるっていうから、目隠しと拘束をさせてもらったってわけ」 「瑞葵、こう見えて腕力強いですからね。早渚さんが普通に連れてこようとしても逆にベッドに引きずり込むでしょうし、いい判断だと思います」 「うう~!」 毛布にくるまったままもがもがと暴れる瑞葵ちゃん。ちょっと可哀そうだけど、もし瑞葵ちゃんを抱くならもっとちゃんとしたTPOでしたいので。私は瑞葵ちゃんを向日葵ちゃんに任せると、部屋に戻って着替え、朝食の準備を始めました。 4人で朝食を食べている間も瑞葵ちゃんは不機嫌で、帰りの時にもむくれていました。 「凪さんの意気地なし・・・」 むぅ、そう言われてもな。しかしこんな悲しい顔をさせたまま帰すのもかわいそうかな。 「瑞葵ちゃん、ちょっと」 「はい?」 私は振り向いた瑞葵ちゃんの髪を一房手に掬い取ると、そこに口づけを落としました。カモミールの香りが鼻孔をくすぐります。 「!?」 瑞葵ちゃんは驚いて目を見開きました。私も急に気恥ずかしくなってきて、視線を逸らしながら言い訳します。 「いや、プレゼントのお返しというか、流石に口やほっぺにするのはハードル高くて、だからその綺麗な髪にしておこうかと・・・ま、まあとにかく。メリークリスマス、瑞葵ちゃん」 「~~~~~!!!」 瑞葵ちゃんは茹蛸みたいになってしまいました。向日葵ちゃんは何が起きたか気付いてないようでしたが、そんな瑞葵ちゃんを引っ張ってタクシーに乗せて帰っていきました。 「お兄、あれやりすぎ」 「うん・・・やりすぎたね」 次会う時、平気な顔で話せるかなぁ・・・。