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【ヘアピン】友情のヘアピン
(ビデオ通話の呼び出し音) 桃宮「はーい、弥美だよー」 橙臣「あー、もしもし弥美?何か弥美から小包届いたんだけど」 桃宮「お、恋織ちゃん。あれ届いたんだ。開けてみてー」 橙臣「・・・ヘアピン?くっついてるのは白い雀みたいだけど」 桃宮「可愛いでしょー。雑貨屋さんで見つけて買ったんだー。そっちは恋織ちゃんにあげるね。私はこっち、ドーナツ型のやつー」 橙臣「いやデカ!そのヘアピン大きすぎるでしょ!何を思ってそんなの買ったわけ!?」 桃宮「この二つのヘアピンね、同じ細工師さんが作ったんだって。恋織ちゃんとの友情の証にいいかなーって」 橙臣「・・・そ、そう。・・・ありがと。もらっておく」 桃宮「しかもね、このドーナツヘアピン香り付きなんだよ!こするとドーナツの甘い匂いがするんだー♡」 橙臣「おい、友情より絶対そっちの理由の方が強かったでしょ」 桃宮「恋織ちゃんのも、こするといい匂いがするやつだよ?」 橙臣「え、本当?どれどれ・・・。ん・・・!?ちょ、この匂いどこかで嗅いだことあるけど何だっけ・・・!?」 桃宮「えへへー、恋織ちゃんのは鳥さんだから、こすると『フライドチキン』の匂いがするんだよ」 橙臣「それだ!いやそれだじゃない!ヘアピンにつける匂いとしてあるまじきチョイスでしょ!頭からフライドチキンの匂いさせてる女子とか女子力アウトな奴でしょうが!」 桃宮「えー、でも恋織ちゃんフライドチキン好きでしょ?ヘアピンから好きな食べ物の匂いがしたら幸せにならない?」 橙臣「いやチキンは好きだけど常にその匂いを纏いたいわけじゃないから!アンタのドーナツはまだいいわよ、甘い匂いで男受けも良さそうだしさぁ」 桃宮「お?男受けを気にするなんて、恋織ちゃんはその可愛いヘアピンをつけて誰か男の人に会うつもりだったのかなー?」 橙臣「!?い、いや別に?今のは一般論というか、その・・・ごにょごにょ」 桃宮「ちなみにー、好きな匂いはね、カモミールの匂いだって」 橙臣「誰も早渚の好きな匂いなんて聞いてないでしょ!」 桃宮「誰も凪おじさんの好きな匂いだなんて言ってないけどー?」 橙臣「~~~~~!!!」 桃宮「あはは、ごめんごめん。凪おじさんは本当にカモミールの匂い好きだってさ。でもフライドチキンの匂いのヘアピンつけてても印象悪くならないと思うよ?」 橙臣「いや、つけないから!弥美、せっかく友情の証にくれたヘアピンだけど、これは一人で楽しむから。人と会う時にはつけない」 桃宮「えー」 橙臣「えーじゃない。もう用事も済んだし通話切るわよ」 (通話終了の音) 橙臣「こすこす・・・はぁ~、食欲をそそる良い匂い。・・・やば、フライドチキン食べたくなってきた。買いに行こ」