ミリシラ様の異世界百景その15「風鈴火山」

地球の皆の者、こんクエスト～！全知全能の大賢者「ミリシラ・シッタカブール」様じゃぞ！ 前回の最後は大変な事になったが、まあ何とか怪我人も出ずに済んだわい。ただ、雪崩の恐怖を間近で味わった者達が主催者のバカ貴族を訴えたので、貴族の方は大会開催費用と賠償金もろもろで借金地獄になったようじゃ。ま、自業自得かのぅ。 今回ワシが来ているのは「クラテールの村」じゃ。前回寒かったからの、今回は温かい地域にした。ここは火山が近くて、火山灰がよく降るんじゃ。それを利用して、ガラス細工を特産品として売り出しておるぞ。通りに風鈴がいっぱい下がってるのが見えるじゃろ。これ全部村で作られたものなんじゃ。音色も美しくて、お土産としても大人気じゃぞ。 そんな事もあって、この村の近くにある「サンドルエール活火山」は通称「風鈴火山」と呼ばれておる。それを面白がったのか、実際に火口へと向かう山道の頭上に魔法で風鈴を固定した奴がおって、なおさら通称が定着したんじゃ。山風を受けて、いつでもちりんちりんと鳴っておるわい。さて、この風鈴の導きに従って、ちょっくら火口を見物に行くか。マグマが派手に湧いているといいんじゃがなー。 この火山自体は立ち入り自由なんじゃが、活火山じゃから当然火口付近は危険地帯じゃ。灼熱のマグマが湧き立ち、噴煙は吹き出し、空気には火山灰が大量に含まれる。防御魔法などを上手に使わないと、まともに立ち入れんな。火山灰の採取をする業者もここまではそうそう来ないしのぅ。 よし、火口に着いた・・・のはいいが。うーん、一応噴火の兆しはあるが、何か地味じゃの。魔物もおらんし、絵面が華やかさに欠けるわい。よし、ちょっと火山に活をいれてやるか。火炎呪文と爆裂呪文、閃熱呪文を同時発動して組み合わせて、と。それ行け！ 『ドゴオオオオオォーーーーーーーーーーーン！！！！！』 よし、程よく爆発したな。これならクラテールの村にも被害は出ない程度じゃろ。ダークエルフの村の時みたいな消火活動するのは御免じゃからな。それじゃあこの爆炎をバックに、地球人たちに締めの挨拶をするかの。 見てくれてありがとうなのじゃ、おつカブール～！ あ、ヒマリ達にお土産の風鈴頼まれておったな、全部でいくつ買うんだったかのぅ。確かお買い物メモ貰っとったよな・・・。