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ミリシラ様の異世界百景その6「ダークエルフの森(前編)」
地球の皆の者、こんクエスト~!!全知全能の大賢者「ミリシラ・シッタカブール」様じゃぞ!・・・ん?普段と姿が違うじゃと?よくぞ気付いたな! 実は、授業で使う魔法石の採取に行かねばならなくなったのじゃが、その魔法石がダークエルフ達が住む森に実るんじゃよ。これはその地域に行くためにダークエルフに変装しているんじゃ。魔法で髪色を暗くして、肌も褐色にしておるだけじゃがな。 お主らはダークエルフというとどんなイメージがあるかのう?邪悪なイメージを持っておるとしたら、それは間違いじゃ。闇属性の魔力が豊富な地域で暮らしておる影響で普通のエルフより肌色が暗いが、特別に悪の心が強いとかそういう事は無く、本質的にはエルフと何も変わらないんじゃよ。多種族やよそ者に対して警戒心が高く、自然を好み魔法が得意というエルフによく見られる特徴は一致しておる。ワシもいつもの姿で出向くと余計な警戒をされかねんから、変装しておるわけじゃな。 ダークエルフの森は深い山の中に存在し、魔法で結界を張って外敵の侵入を防いでおるんじゃ。滅多な事で多種族が入ってこない分、一度内部に入ってしまえば変装も相まってそう怪しまれる事はあるまいて。さて、距離もある事じゃし、早速出発しようかのう。 半分くらいは来たかの。周りに遮蔽物も無い事じゃし、ここらでそろそろテストしておくか。・・・いやなに、万一ダークエルフ達と戦闘にでもなった時、さしものワシも大勢に囲まれて魔法で袋叩きにされたらヤバイからのう。冒険者をやめてから随分経つもので、本気の戦闘なぞここ数十年やっとらんから、ちゃんと感覚を取り戻しておかんとな。ハァッ!! ・・・ふぃー、成功じゃな。真の姿に戻るのは久々じゃから、もし魔力が溜まり過ぎてたりしたら大爆発の可能性もあったからの。よしよし、体も問題ないし、変装も解けておらんな。しかしやっぱりこの姿は魔力コントロールが難しいのう。魔力が高まる・・・溢れる・・・!ついつい無駄に大魔法を炸裂させたくなるのぅ・・・。 とりあえず、小さい杖から常時魔力を垂れ流しにしておくか。魔力が減ってきたらまた少女の姿に戻れるようになるじゃろ。さて、ダークエルフの森に着くまでの道中、特別珍しいものもあるわけでなし、時間ばっかりかかるからの。ダークエルフの森の様子は次回のお楽しみにしておくか。 そういう訳で、見てくれてありがとうなのじゃ!おつカブール~!! ぐぬぅ、ワシとした事が・・・。真の姿に戻ったら足は長くなったが胸が重たくて仕方ないわい。もうちょっと目的地近くで封印を解くべきじゃったなぁ・・・。