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ミリシラ様の異世界百景その5「アヴェルス草原(雨季)」
地球の皆の者、こんクエスト~!!全知全能の大賢者「ミリシラ・シッタカブール」様じゃぞ!今日は前回来るのを断念したアヴェルス草原を散歩中じゃ。 このアヴェルス草原は一年の大半が雨季での、いつ天気が崩れてもおかしくない地域なんじゃ。前回ワシが来ようとした時は豪雨で視界ゼロのレベルじゃったそうで、人も動物もとんと見かけんような状態だったらしいわい。 今日はまだ標準のレベルの降り方じゃな。この地域は気温が高くて、雨に濡れても肌寒くないので、あまり傘とか使うものはおらん。草原であるために草木の根っこがしっかり地面を押さえておるので、地盤が柔らかくなってしまう事も稀じゃな。 雨季と乾季で見かける生物も結構違うんじゃ。雨季では珍しいカエルや陸生の貝の仲間たち、極めつけは淡水魚すらおる始末よ。乾季は川が枯れておって魚など見かける事が物理的に無理なんじゃが、雨季になると草原のあちらこちらに川が流れるので、そこを泳いでくるんじゃな。 ちなみにこの川、水温は高いので水遊びしたとしてもまず風邪を引くような事にはならんのじゃが、雨季は流れが速い事が珍しくないんじゃ。泳ぎが得意なものでもない限り溺れるかもしれんから、あまり水辺に近寄らん方が無難じゃぞ。ワシか?ワシは泳ぎは得意じゃぞ。 泳ぎと言えば、数十年前に魔法学校でワシに嫌味を言った女生徒どもがおった。賢者なのに泳ぎも上手な事に嫉妬したんじゃろう、「ミリシラ様は私たちと違って水の抵抗がなさそうですもんね」じゃと。ワシだって自分の封印を解けばむちむちのばいんばいんなんじゃぞ?ただ真の姿は魔力が強すぎて、普通に生活するのに支障をきたすから適正レベルに封印しとるんじゃ。そこを分かってなかったあのメスガキどもは、ワシの真の姿で「わからせて」やったわい。 話が脱線したのう。お、ちょうど雨が弱まって雲も切れてきたわい。雨季のアヴェルス草原一番の見どころは、この瞬間なんじゃ。 見よ、虹じゃ!空の彼方に浮かぶものはもちろんじゃが、アヴェルス草原が持つ独特の湿度により地上にもいくつもの小さな虹が浮かぶんじゃ!これが見たかったんじゃよ、これが。自然の生み出す美しさというのはやはり良いものじゃて。 ・・・お主ら、今回の紹介の間、ちゃんと草原の風景を見ておったよな?いや、その。今気づいたんじゃが、ワシの服が濡れて透けて地肌が割と見えちゃってるんじゃないかのぅ、って。いかんいかん、今回はここまでにしておこう。 見てくれてありがとうなのじゃ、おつカブール~!! さて、帰ってひとっ風呂浴びるかのう。ぱんつまで濡れ濡れになってしまったわい。