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黒天使の悪夢
偵察攻撃部隊、ブラックピースは、優遇されているとはいえ、 小所帯の部隊である。 物資は豊富にあるが、人員は多くはない。 専属の料理人などはいないので、拠点での調理等は、隊員たちが持ち回りでやっている。 士官・下士官・兵卒、変わりなく平等にだ。 今回はどうやら、副官の金髪ポニーテル少尉の順番らしい、のだが。 「きゃあ、なんなのよ、このニワトリは!!」 生鮮食料として現地の協力組織から譲られた、ニワトリに苦戦しているらしい 「あいた、引っかかれた!!あっ、破れる。突っつかないで!!」 ニワトリたちは、素早いうえに大軍だ 戦場では、黒い告死天使か守護天使かといった立ち回りを演じる少尉だが、ニワトリ相手には方なしだ 「それに、なんかニワトリばかでっかい!!」 とそこに、 「情けないですね。少尉、ニワトリごときに後れを取るなんて」 「ぐっ、軍曹!!」 おっかなくて、強そうで、美人の女性軍曹が現れた。 燃えるような赤毛を風になびかせて、手には何かの血が付いた山刀をもっている。 副長の少尉とはいえ、だからこそ、古参の軍曹には頭が上がらないものだ。 「こんなものは、こうやって首をはねれば一発ですよ」 「ひいい!!」 スパーンと飛ばされたニワトリの生首が飛んできて悲鳴を上げる少尉 「怖がることはありませんよ」 とそこに、別の声がかかる。 「うわあ!!伍長!!」 背後から銀髪ロングヘアーの伍長が現れる 「こんなに可愛くておいしんだから」 飛んできた生首を手に取ると、かぷりと咥えて血を啜る 「いやあ!!」 「あれ・・・、夢!?」 自分の声で跳ね起きた少尉は、寝汗をぐっしょりかきながら呟いた 「なんて夢よ・・・・・・」 ニワトリは別に嫌いでは無く食べるのも好きだし、ひよこなどは可愛いと思うのだが 少尉のパジャマはなぜかひよこ柄だ ニワトリを模したクッションを抱きしめる 軍曹は強くておっかないし、伍長は生意気で不思議な少女だ 心の中で苦手としていたのが、悪夢に出てきたのか 「ちょっと、副長、休みだからっていつまで寝てるのよ」 「ひっ、ひいい!!悪魔!!!」 少尉は、扉を開けて入ってきた銀髪ロングの伍長に気付かず、思わず考え事のままに絶叫を上げてしまう。 「人の顔見るなり、悪魔とは失礼ですね。 ・・・・・・・、 あれ?」 近寄ってきて少尉の顔をまじまじと見て 「どうしたんですか、そんなとこ押さえて」 ち、ちょっと出ちゃった 「ははーん、昨日爆発しすぎたんですね」 「ちっちが、(半分違わないけど)。ちょっと何を言って!!」 「励むのもよいですけど、ほどほどにしましょうね~ 朝ごはんできてるけど、ちゃんと拭いてきてくださいね~ 爆発しろ~~」 歌うように銀髪ロングの伍長は出ていくのだった