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《ブロント注意報》──発令0.1秒の謎──

春の陽が射しこむ将校寮の一室。 ブロント少尉は、今日も慎ましく鏡の前に立っていた。 「……うむ、本日の外出服、完璧ですね」 ミントグリーンのカーディガンは、まるで新芽のように瑞々しく、 スカートはやさしく揺れるラベンダー色。 春風を纏ったようなその姿は、誰がどう見ても美少女――それも、ちょっと服装センスが“可愛すぎる”タイプのやつだ。 ただし、足元は抜かりない。ピカピカに磨き上げられた軍用ジャングルブーツが重厚な存在感を放っている。 (この程度で目立つことはないはずです……よね) 本人はそう信じていた。 が、現実は異なる。 部屋の扉を、そっと開ける。 ――そのわずか0.1秒後。 士官学校男子寮・地下通信用ブース。 「きたッ!!“ミント&ラベンダー”!配色コード:M22-L39!」 「南棟からの外出ルート、予測通り!本日も発令――“ブロント注意報”!!」 各候補生の簡易端末に、一斉にコードが走る。 そこにはこう記されていた。 『本日04:13発令/対象:金髪ポニテ少尉/私服コード:M22-L39(ミント・ラベンダー)/ 備考:美少女私服+ブーツ。半径10m接近危険。過去10件接触例あり(うち即死1)』 「……カナメ、また昨日“春色の天使”って言って声かけたら、腹ごと浮いたって言ってたな……」 「目が合った瞬間、世界が回ったとか言ってた。回ったのは彼自身だったが」 候補生たちは、慣れた手つきでブロント少尉の通り道をマッピングし、 静かにその進路から退避していく。 ◇ ◇ ◇ 一方そのころ―― (……? なんだか、さっきまで人の気配が……) 首を傾げるブロント少尉。 だがその表情は、どこまでも柔らかく、無垢で、無警戒。 ただ一人の少女が、春の陽を浴びながら外に出ていく。 誰も彼女の笑顔を止めることはできない。 誰も、あの一撃から逃げ切れるとは限らない。 だから――注意報は、出るのだ。 静かに、正確に、そして爆速で。

さかいきしお

コメント (9)

ガボドゲ
2025/04/13 01:45
へねっと
2025/04/13 01:35
もみ
2025/04/13 00:28
T.J.
2025/04/12 23:53
Ken@Novel_ai
2025/04/12 23:37
ippei

unlucky colorということは、lucky colorもあるのかな? lucky colorはブルマの紺色かな

2025/04/12 23:03
えどちん
2025/04/12 22:27
Anera
2025/04/12 20:26

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