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ブロント少尉、教室に立つ(夢うつつ)
執務室の陽射しが、ゆっくりと傾いていく。 机に突っ伏し、可憐なポニーテールを揺らしながら、ブロント少尉は穏やかな寝息を立てていた。 「候補生……私の授業で居眠りとは良い度胸だ……!修正する!!」 ――夢の中。 ブロント少尉は、教室の机の上で仁王立ち。軍服のプリーツスカートが翻り、偉そうに腰に手を当てながら、士官候補生を「ふみふみ」するような蹴りを繰り出していた。 「むにゃ……蹴りこそ、正しきふぉーむ……」 ――スパァァン!!! 突如、現実世界に戻される。 富士見軍曹の回し蹴りが、ブロント少尉の後頭部に炸裂していた。 「ブロント教官。……堂々と執務室で居眠りしないでください」 「ほわっ? ……あれ、ポニーテールのリボンがほどけてる?」 目をぱちくりさせるブロント少尉。寝ぼけ眼のまま、ふと目の前の軍曹に目をやり、ぽつり。 「軍曹……けっこう可愛い下着はいてますね」 「――なっ!?」 再び回し蹴りが炸裂する寸前! 「はにゃ!? 模範演技ですか!?」 とっさに寝ぼけた反応で蹴りを繰り出すブロント少尉。 「メスガキ!!そんな寝ぼけた蹴りが当たるかぁッ!!」 富士見軍曹のハイキックが、ブロント少尉の蹴りを見事に迎え撃った。 ――直後、ブロント少尉の頭には餅のようにぷくーっと膨らんだコブができ・・・・・・ そして―― 教室にて。 頭にとんでもないコブをつけたまま、ブロント少尉は黒板の前に立つ。 「……みなさん、戦場での居眠りは厳禁です。特に、聴音壕での居眠りは懲罰の対象になりえます」 ぽそぽそと真面目に語る少尉。その姿を見て、士官候補生たちはヒソヒソとささやき合う。 「なんか今日の少尉、やけにしおらしくて……かわいいな……」 「今日の少尉なら……組手訓練で勝てるかも……」 しかし、教壇の斜め後ろ。 富士見軍曹がジト目でその様子を見つめていた。 (……あとでまた叩き起こしてやろう)