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ハートの皇帝様

世界中に中華街はあるものだが、ここはそのうちの一つ 中年の傭兵が、部下らしい金髪の少女を連れて歩いている ふたりとも武装はしているのだが、しかしだ 「おう、そのドレスどうしたんだ?」 少女は普段は黒いワンピース姿なのだが、今日は体にぴったりした東洋風のドレスを着ていた。 「チャイニーズタウンだから、潜入用に用意したんです 似合っていますか?」 「あっああ、似合ってるぜ (目立ってもいるがな)」 「そうですか。良かった」 うれしそうに笑う少女をみて、傭兵は苦笑する 「それで、そのフィクサーってどんな人なんですか」 「ああ、温厚なやつだよ 見た目はかなり個性的だがな 怒らせると、とても恐ろしい 手下の数も武器もこの街では一番なのは確かだ 気を付けろよ おっとここだ」 傭兵がとある一軒の酒場のドアを開ける 中華街の中にあるのだが、中は普通のバーのようだ テーブルでは数組の客がカードに興じながら酒を飲んでいる (おっ、ハートのロイヤルストレートフラッシュかよ。やるな) テーブルの一つで、カードをしていた巨漢が振り返る 「あら、隊長、お久しぶりですわね 可愛い娘をつれていますね」 顔に似合わぬ、なよっとした声で笑う、その巨漢の容姿に圧倒され、少女が後ずさりながら呟く 「あ、あなたが、ハート?」 「ミスターを付けろ!!馬鹿野郎」 すかさず、傭兵が金髪の頭をひっぱたく 「つっ、うう、 申し訳ありません。 ハート様」 巨漢は、スキンヘッドに上半身裸で、胸に意匠を凝らしたハート柄の刺青をしていた。 「かまいませんよ。君たちは大事な戦闘力なんだ」 にっこりと笑いながら、巨漢はなょっとした声で言う 「奥にいらして。用意してあるから」 (ハートの皇帝、ハート様。ただ物ではないわね) 金髪の少女は、気を引き締めると、隊長の後に続いた。

さかいきしお

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