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聖なる闇の中で
「まったく、暗黒神のプリーストに魂を救えるのかだと?」 リリスはかなり不機嫌だった。 真っ黒な神官衣を着て、蝋燭をもって墓場を歩いている姿は、なかなか不気味でおどろおどろしく、雰囲気がある。 残念なことに、今は真冬だが。 「暗闇の中ではみんな平等だっていうの」 今になって考えると挑発に乗ったような気もするが。 この王都は、かなりの人口があるので、それに見合っただけの死者が出る。 つまり、墓場もそれなりの数がある。 きちんと手入れがされている場所ならばよいが、そうでない場合。 やっぱり出るのである。 そうゆうわけで、奇跡を起こせるプリーストの中でも、自由に動ける、冒険者や在家の神官などは自主的に除霊等を受け持ったりしている。 当然手が足りない。 それならば拙僧が!! などとよくわからんおっさん神官がしゃしゃり出てきたので、つられるようにさえぎるように、除霊を請け負ってしまった。 「まあいいぜ。闇に導くのはあたいの役目だ」 荒れ果てた墓地の中で、神聖な闇が光を放った。