慰安旅行のお誘い騒動

ある日の金剛院邸にて・・・ 「ちょ、ちょっと！桜一文字！何ですのそのイラストは！」 「え、これですか～？お嬢様の入浴シーンを描いたんですけど～」 「いやそれはまだいいとして、なぜそれを早渚さんに送信しようとしてますの！？」 「温泉宿貸し切りで使用人一同と行く今週末の慰安旅行に、早渚さんも誘ってみてって言ったのはお嬢様でしょ～？それで、早渚さんが乗り気になるように、お嬢様と温泉はいかがですか、というイメージでですね～」 「あの宿は混浴露天風呂もあるのですから洒落になってないですわ！早渚さんが本気にしたらどうするつもりですの！」 「その時は一緒に入ればいいじゃないですか～」 「い、一緒にって、貴女ね、わたくしにも心の準備というものが」 「今のうちに送信！と」 「ああああ！？本当に送りましたの！？信じられませんわ！」 「いいじゃないですか、たかが絵ですし～？身体中エレガントなんじゃなかったですっけ？」 「もう！人の揚げ足ばかりとって！」 「おっ、早速返信が・・・。あ～、『今回はご遠慮させていただきます』ですって。お嬢様の色気が足りなかったかな～」 「はぁーん！？言いましたわね桜一文字！だったら貴女の入浴シーンを描いて送って差し上げたらいかがかしら！？」 「えっ、いやそれは流石に恥ずかしいんですけど～・・・」 「わたくしの痴態は送ったくせに！つべこべ言わずにお描きなさい！」 数時間後・・・ 「描きました。で、送りました。私との混浴でもダメですか？ってメッセージもつけました。これで満足ですか～？」 「これでも断られるようなら、貴女の色気もその程度ということですわね。さあ、早渚さんはどう返信してくださるのかしら？」 「・・・あ、来ましたよ。『申し訳ありません、ご説明が足りなかったですね。今週末は既に別の仕事を入れてしまってるので、ご遠慮させていただきます』ですって」 「な、何ですって・・・！じゃあ色気とか関係ないじゃありませんの！」 「なのにお嬢様ってば私の裸まで強要するんだから～。いやらしいご主人様ですね～」 「お待ちなさい！そもそも最初にわたくしの入浴イラストを送ったり、色気が足りないだの言い出したのは桜一文字でしょう！貴女こそいやらしいですわ！頭の中えっちっちーのチーですわ！」 「お嬢様はポンですけどね～」 「何ですの！？」 「何ですかぁ～？」 この程度の言い合いは、割と日常だったりする金剛院邸でした。