thumbnailthumbnail-0thumbnail-1thumbnail-2thumbnail-3thumbnail-4thumbnail-5thumbnail-6

1 / 7

鼻と赤毛と紙と髪

「これ、結構目立つ髪だよね……、すぐにわかるだろうね」 ダキニラは、ごみ袋に入っていた髪の毛を摘まみ上げて、ティッシュで包む。 赤毛の波打ったウェーブヘアが一つまみ程。 「髪は女の命綱、とはいうけど……、そんな教えもあったっけか」 ダキニラは神官でもあるので、他の宗旨にも多少は通じている。 友人である、東方竜のタキザワの話にそんなのがあったような。 他にも怪しげな魔法陣が描かれた紙はあったが、ダキニラは賢者でも魔術師でもないので、詳細はわからない。 たぶんだが、大っぴらに、シルビアや他の魔術師が使用するものではない気がする。 そんな紙と一緒に髪の毛が入っていたのだ。何らかの作為を感じないわけではないが。 とそこへ。 「ゴミを出したいんだが、ここでよろしいか」 新任の女性体術教官ブローナがゴミ収取所に入ってきた。 「あら、美人な先生、お受けしますよ」 長身の、レザージャケットを着たエルフの美女だ。 やけに男っぽい話し方と低い声だが、逆にしっくりはまっている。 にやりと笑って、出迎えるダキニラ。 美人の先生はブスっとした顔だ。 もちろん女装して潜入したブロントだ。 ダキニラはブローナの産みの親の一人ともいえるのだが。 そのブローナは、鼻をぐすぐいわせて、目が潤んでいる。 「ブローナ先生、風邪ですか。癒しを掛けましょうか。」 幸運神の巫女であるダキニラは、風邪ぐらいはすぐに治せる。 「やめとけ。気にしなくていい。サラマンダーに語り掛ければすぐ直る」 気遣ったダキニラに、ブローナは鼻を鳴らしながら答える。 ブローナは精霊魔法のレストア・ヘルス(傷病快癒)は使えないらしい。 当たり前だが。生命の精霊は女性の精霊使いにしか答えない。 掃除婦が幸運神の神官と言うの不自然だしばれるのもまずい。 「そっ、そう、辛くなったら言ってね ……、 それで、これなんだけど……」 そう言って、ダキニラはティッシュペーパーを差し出す。 もともと、情報交換のためにブローナがゴミ収取所を訪れたのだ。 「ああ、ありがとう」 ティッシュペーパーを受け取ったブローナが鼻に持っていき。 「あっ、ちょ、ちが・・・・・」 「おわー!!、なんだ!! これは!!」 止める間もなく、鼻をかもうとしたブロントが、素に戻って絶叫を上げる。 隙間から波打った赤毛の束が覗いていた。

さかいきしお

コメント (8)

mirusen
2024/05/12 16:19

さかいきしお

2024/05/19 14:15

ガボドゲ
2024/05/12 13:03

さかいきしお

2024/05/12 16:08

ルノハ
2024/05/12 09:16

さかいきしお

2024/05/12 16:08

さかいきしお

2024/05/12 16:08

Jutaro009
2024/05/11 19:57

さかいきしお

2024/05/12 16:08

Anera
2024/05/11 17:33

さかいきしお

2024/05/12 16:08

gepaltz
2024/05/11 15:31

さかいきしお

2024/05/12 16:07

bonkotu3
2024/05/11 14:00

さかいきしお

2024/05/12 16:07

888

フォロワー

769

投稿

おすすめ