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美女?とメイドと魔少女達
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教室の教壇の前で、なぜだかメイド服の上に部分鎧を付けた少女が、傍に立つ人物を紹介する。 「今日から、あなた達の体術教官を務めて頂く事になった」 促されて進み出た美人は軽く頭を下げて。 「初めまして。ブローナです。」 上品なレザーのジャケットを纏った長身のエルフ美女が、女性にしては結構低い声で言葉短く自己紹介をする。 教室の中には、いかにも修行中の魔女ですといった服装をし、だが育ちがよさそうなお嬢様と言った少女たちが居並び、興味津々に 新任の女性教官を観察している 「私の事は見知っている者もいるだろうが、この女学園の卒業生である、エルザベータだ。 ブローナ教官の助教として、あなた方の指導に携わる」 メイド騎士は卒業生らしい。お嬢様ばかりのこの学園に、メイドで騎士、とはいまいち似合わない気もするが、本人は堂々としたものだ。 女生徒たちは興味深く、ある物は無関心に、そして中には侮りの視線を向ける者もいる。 そんな中の筆頭、少々大人びた妖艶な雰囲気の赤毛の少女が立ち上がる。 「私たちは~、りっぱな魔女になるために、日々魔法の勉強をしているわけで~。今更亜人の剣士、あら、失礼しました。 剣がお得意のエルフのお姉さまに教わる事なんてないと思うんですけど~。」 語尾を伸ばす、甘ったるい話し方で、人をなめくさった態度だ。 エルフであることは精霊使いであることと同義なのに知らないらしい。 もっとも、街で暮らすエルフは魔法を使えない事も多いが。 この女学院で、亜人種に対するする蔑視がまかり通っているのは本当のようだ。 エルフの美は認めているらしいが。 「ブローナ様はここにいる誰よりも強い。教授たちの中でも勝てる者は少ないだろう」 毅然とした態度で断言するエルザベータ。 「先輩~、ずいぶん、そのお姉さまに入れ込んでらっしゃるみたいですが~、お二人はどんな関係なんですか~」 卒業生であるエルザベータでさえ見下した口調で訪ねてくる美魔少女。 「黙れ!!お前もその生意気な口をお姉さ・・・・・、ブローナ様に塞がれることになるぞ!!」 顔を真っ赤にして叫ぶエルザベータの剣幕に息をのむ少女たちだが。 「別に、暴力に訴えたわけではない」 ブローナが憮然とした表情で続けると。 ……。 「キャア~!!」 ブローナの言葉を曲解した、若き魔女たちの黄色い歓声が、教室中に響き渡った。