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どこから来たというのかね
『この世の人族は、もとは只人(ヒューマン)一種類であったという。 エルフ、オーク、ドワーフ、その他の獣人、魔族に至るまで、 すべてこの世に訪れし稀人の血を受けて変容したもの成り』 シルビアは、図書室に併設された資料室で書籍を広げて呟いている。 「う~ん、説としては面白いんだけど・・・・・・」 シルビアは、自分の尖った耳を引っ張りながら、机の傍に置かれている、大地の星の模式図を見る。 占星術の研鑽のついでだったらしい。 人々が住む大地が星の一つであり、大きな球の形をしていることは、今の時代疑うものはほとんどいない。 天球上で奇妙な動きを見せる惑星も、大地の兄弟星であることはわかっている。 「この宇宙の構造で、その稀人はどこから来たというのかしら?」 天井からつるされて浮かんでいる球をつつきながら呟く。 「天界は?魔界は?妖精界は?どこにあるの?」 ただ、星の大きな関係は解っても、細かなところ、深いところはまだ分かっていない事が多い。 「やっぱり、魔法なのかしら」 テレポートの魔法がある以上、想像のつかない距離や場所を隔ててやってきた事は、否定出来ないのだけど。 「ディメンション(次元)ゲートかしらね」 シルビアは、頭をひねって考え込んだ。