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振り袖金髪大晦日
「おや、外国の方がいらっしゃいます。和服がとてもお似合いですね。お話を伺ってみましょう」 大晦日の神社の境内を、テレビカメラを連れたレポータが動く。 日本の大晦日定番の、年越し前後の各地の様子を映す番組だ。 レポーターが目を付けた若い女性は、金色のポニーテールに、和服を着ていて、遠くからでも人目を引いている。 「申し訳ありません。お話良いですか。どちらからお越しですか?」 「えっ、はい、市ヶ谷からです」 「えっ・・・・・・」 市ヶ谷? レポーターは一瞬焦る。 反応が外国人ではなく、アクセントや表情から日本語ネイティブに近いことに気づいたからだ。 (しかも、この娘って……) レポータの彼女とは、畑違いの分野ではあるが、有名な娘だと気づいた。 首都圏のローカルニュース、といっても都心だが、を騒がせている存在だ。 軍属だといううわさがあるが定かではない。 通称、ピュア・ブロンド。 「あっ、なにか……、一言良いですか」 声をかけた以上スルーするわけにもいかないので、若干引き気味に水を向けると。 「みなさん!!すりや置き引き!!痴漢には気を付けましょうね!!犯罪です!! クリアでピュアな心で私は見守っています!!」 マイクを奪い取るように言う、振り袖姿のブロント少尉。 「あのバカ、何を言っているのかしら・・・・・・」 シルビア伍長は、テレビに映っている上官の姿を見ながら、あきれ返って呟くのだった。