thumbnailthumbnail-0thumbnail-1thumbnail-2thumbnail-3thumbnail-4thumbnail-5thumbnail-6thumbnail-7thumbnail-8thumbnail-9thumbnail-10thumbnail-11thumbnail-12

1 / 13

地下鉄制服軍曹と

「痴漢退治?」 ブロント少尉が素っ頓狂な声を上げる。 「お巡りさんや、憲兵の仕事でしょうけど……、 地下鉄ならば、鉄道公安官ですか」 普通、痴漢と言ったら電車で出るものだ。道端であんまり痴漢は出ないだろう。 というか痴漢で済むことはあまりないかもしれない。 「お前さん、このまえ秋葉原で顔と名前売っただろう。 なんだ、ピュア・ブロンドって。」 ブロント少尉は、この前秋葉原で行われたコスプレダンパですりを捕まえて、紙面を飾ってしまった。 魔法少女のコスプレをして‥…。 「この国に憲兵はいないぞ。いや、いるにはいるが、権限は軍内部だけだ」 「えっ、それなら私が痴漢退治なんてやる必要ないじゃないですか。」 「警察にへそ曲げられたんだよ。秋葉原とそんなに軍が仲が良いんだったら、ぜひとも市民の安全にも協力をお願いしたいとよ」 ぶっちゃけ、ブロント少尉がやったら目立ってしまったので、その横に同じようなコンセプトで並ぶとなると、二の足を踏む物が多いだろう。 「まあ、退治って言っても別に手をねじりあげて捕まえろっていうわけじゃない。 お前はどこにいても目立つからな。注目を集めて、犯罪防止を呼びかけろとよ」 「うっ、もう・・・・・・・。しょうがないですね」 (口元笑っているぞ……) 飛び級ですでに海外の大学を卒業しているブロント少尉だ。 今更、制服姿の女学生もないものだが、まんざらでもなさそうだ。 「みなさん!!痴漢に気を付けてくださいね!!」 (・・・・・・、という名目でブロント少尉に注目が集まっている間に、他で悪さをする奴が出るからそいつらを抑えようという作戦なのね。) 駅の構内で演説した後、巡回という名目で地下鉄に乗るブロント少尉。 似合っているのだが、女子学生にはちょっと見えない。 通勤通学の時間帯なので、結構な込み具合で、はた迷惑この上ない。 当然というか、セーラー服姿のブロント少尉の周りに周囲1メートルほど空間ができているので目立つこともこの上ない。 その空間の分、ほかの箇所の密度が上がるわけだが。 (何やらかすか不安だと思ったけど……。  そもそも、あんな目立って危ない女の子に手を出す奴なんていないわ……) 富士見2等軍曹は、なぜか自前でセーラー服を着て、車両の隅の方からブロント少尉の様子をうかがう。 10年は経ってはいないぐらい前の服だが、ブロント少尉と違い日本人そのものの容姿の富士見軍曹は、日本人の中でも特に小柄で若く見える。 ぶっちゃけ年下のブロント少尉より、女学生に見えるぐらいセーラー服が似合っていた。 こちらも実はまんざらでもないみたいだ。 と、そこに、つーと、体を触られる気配を感じて……。 (まっ、まさか、私を痴漢!?) 肩をたたいた手をはらい、振り向きざまに蹴りを入れる富士見軍曹。 しかし、大男の格闘家でさえ一撃で倒す富士見軍曹の蹴りは微妙にそらされた。 「ちゅ、中隊長……」 後ろから富士見軍曹の肩をつついたのは、敬愛する、彼女の以前の上司だった。 「……いったい何をやってるんだ?」 女性軍曹のセーラー服姿をまじまじと見ながら、呆れたようにつぶやく隊長。 「あっ、いやっ、これは……」 普段冷静沈着な2等軍曹も、ブロント少尉に振り回されている時以上にうろたえながら、しどろもどろに答えられない。 「むっ!!その二人、何事ですか!!痴漢ですか!!逮捕しますよ!!」 監視対象に見つかって、逆に捕まりそうになった二人は、ちょうど開いたドアから慌てて逃げだすのだった。

さかいきしお

コメント (2)

ガボドゲ
2023/12/30 13:42

さかいきしお

2023/12/30 13:45

bonkotu3
2023/12/30 08:28

さかいきしお

2023/12/30 13:45

883

フォロワー

680

投稿

おすすめ