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温かくて苦い味
「ふう……」 アーゼリン少尉は、ため息をつきながら本部のテントから出てきた。 「少尉さん、コーヒーはどうだい?」 炊事兵が、金属製のポッドから、カップにコーヒーを注ぎながら言う。 焚火で簡易に入れたコーヒーらしい。 「あ、ありがとう」 炊事兵の肩には、比較的複雑な肩章がついている。 一等軍曹!! 炊事兵だと思っていたアーゼリンは少し驚いた。 「少尉さん、ちょっ気が張ってるね。まあ、コーヒー一杯ぐらい飲んでも罰は当たらないよ」 「あっ、ありがとう。軍曹、デリシア軍曹?」 ネームプレートを読み取って礼をいうアーゼリン少尉に。 「ああ、デルでいいですよ。少尉さん」 これが、現代にいたっても友である、デリシア神とその友人の初めての出会いだった。