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母娘鍋
「お母様と料理をするなんて久しぶりね」 ダークエルフとハーフエルフの母娘が、キッチンで鍋料理を作っている。 「なんだ。シルビア。料理を作ってやる殿方はまだ見つからないか……」 「いやだ、お母様ったら……」 楽しく談笑しながら料理をする、母娘の様子を、若いエルフが眺めている。 「ブロント、鍋ができたぞ。手伝ってくれ」 「よっしゃ、うまそうだな」 ブロントは熱い鍋を慎重にテーブルの上に移す。 ・・・・・・。 「それにしても、姉御が料理も得意とは知らなかったな」 「わたしはこう見えて長く生きている。コックも経験したぞ……。 メイドとして働いたこともあったな。 わたしの料理はなかなか評判だった」 ブロントは、目の前のダークエルフのメイド姿を想像して。 (おっかねーメイドもいたもんだ) 「あんた、今失礼なことを考えたでしょう?」 隣にいたシルビアに耳を引っ張られた。