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悩みの種を切り裂いて

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2024年11月20日 15時00分
使用モデル名:ProfiteroleMix
対象年齢:全年齢
スタイル:イラスト
デイリー入賞 71
参加お題:

シリアちゃんと連れ立って歩くうちに、森の霧はいつしか薄れて、だんだん視界が良くなってきました。自然公園の森の中でも標高が高めの場所に来たようです。 「この先に展望台があるわ。そこで星でも眺めながら話しましょう」 言われるがままに足を進めると、木々で覆われていた視界が開け、満天の星空が私たちを出迎えました。 「ほら、陰鬱な森の中よりも気分もすっきりしそうでしょう。それで、何があったのかしら」 私はシリアちゃんに、幽魅と淫らな雰囲気になる夢を見た事や、自分が欲求不満なのではないかと感じ、それは最近女性と触れ合う機会が多すぎて距離感がおかしくなってしまったせいだと思った事、それで初心に帰って風景写真を撮ってリフレッシュしようとして森で迷った事を包み隠さず話しました。ただ、幽魅の名前を出すのはさすがにちょっと恥ずかしかったので、そこは『知り合いの女性』という曖昧な表現に留めましたが。 「なるほどね。大体の事情は把握できたわ」 シリアちゃんは腕組みをしながら私の話を聞いていましたが、少し考えた後に口を開きました。 「これは私の個人的な意見だけど。異性に興味を持つのはそんなに悪いことかしら?」 「それ自体は悪くないと思う。けど、やっぱりお互いに恋愛感情があるわけでもないのに、そういう目で見るのは失礼だと思うし、申し訳ない」 「それはあくまでカメラマンさんの視点での話でしょう。相手の女性がどう思っているのか、確認してあるのかしら」 「そんな事出来ないよ。勝手にそういう妄想をされて気分のいい人なんていないでしょ」 シリアちゃんは眉間にしわをよせて、ふぅとため息をつきました。 「私に言わせれば、カメラマンさんは逃げてるだけよ。話した事で相手に嫌われるのが怖いから『失礼だから』とかそういう言い訳をして、ね。正直に話してみればいいじゃない。それともそういう事を言えないくらい、相手は堅物なの?」 「い、いや、どっちかというとフランクな人だよ」 「だったらなおさらよ。もし話して、相手が距離を置いてしまうようなら、恋愛面ではそもそも脈が無かったって話だし、友人としてもその程度の関係でしかなかったって事だから」 がっつり正論です。ぐうの音も出ませんでした。 「それに、写真に納得がいかない理由も大体見当がつくわ。私はカメラとか詳しくないけど、仕事じゃなくて趣味で撮るなら『撮りたい』って思ったものをカメラに収めるものなんじゃないの?」 「そ、それはそうだよね。だから風景写真を撮ろうと思ったんだ。私の原点だから」 「でも、それで納得いってないのは、技術面がどうとかの話じゃないんでしょう。だってあなたプロ何年目だって話じゃない。初めより経験を積んできてるんだから技術が落ちてるはずはない。単純にカメラマンさんが変わったのよ。『撮りたい』ものが変わった。違う?」 言われてみれば、今日の撮影の間は、いつも誰かを思い浮かべながら撮影をしていたような・・・そうか、そうだったのか・・・。 「シリアちゃん、ありがとう。何だか少し楽になったよ。そろそろ帰ろうかな。玄葉も心配してるだろうし」 今頃、ベランダに出て空でも見上げながら心配そうな顔をしているかも知れません。 「その顔で帰ったら余計に心配するんじゃない?気付いてないかも知れないけど、すごくやつれてるわよ。精神的に追い詰められた状態で森の中をさ迷い歩いていたんだからでしょうけど、ひどいものだわ」 シリアちゃんは展望台の片隅にある山小屋を指し示しました。 「あそこでちょっと休んでいった方がいいわ。帰りだって実質下山なのよ?途中で倒れられたら目も当てられないもの」 そう言われればその通りです。素直に従い、少し休んでから帰る事にしました。山小屋に入ると、シリアちゃんがベンチに腰を下ろして、自分の太ももをぽんぽんと叩きます。 「ほら、膝枕してあげるから」 「えっ、いや悪いよ。そこまでしてもらう訳には」 「この山小屋、他に寝られそうな場所ないし、枕になる柔らかいものもないわよ。ここまで来て変な遠慮される方が私にとってはめんどくさいんだけど」 シリアちゃんがじっと私を見つめてきます。その圧に負け、私はおずおずと横になり、シリアちゃんの太ももに頭を載せました。女性らしい柔らかい香りと、どこか鉄錆びのような臭いがします。 「な、何?変な顔して」 「いや、シリアちゃんって不思議な匂いがするなって思って」 シリアちゃんの体の方に顔を向けて、スカートの匂いを嗅いでみます。この錆っぽい臭いは、どこかで嗅いだような気もするのですが・・・。 「・・・ねえ、カメラマンさん?膝枕してあげるとは言ったけど、スカートに顔をうずめて匂いを嗅いでもいいとは一言も言ってないんだけど?」 シリアちゃんが顔に笑顔を張り付け、しかし額には青筋を立てて私を見下ろしていました。両手でがっちり頭を押さえつけられ、ぎゅうぎゅうと指で頭を締め付けられます。 「い、痛い痛い!ごめん、ごめんなさい!」 「まったく、女性との距離感がどうのこうの言っておいて、それでこの振る舞いなの?ちょっと天然入ってない?私まだ先輩にも股ぐらの匂いなんて嗅がれた事無いんですけど?」 「あっ・・・そう言えば、シリアちゃん彼氏いるんだったよね。ごめん、気が付かなくて」 私がそう言った瞬間、シリアちゃんがぴたっと動きを止めました。苦々し気に言葉をこぼします。 「・・・まだ彼氏じゃないのよ」 「あ・・・なんかごめん」 その後は何となく声を掛けづらくなり、お互い無言でいる内に、私は疲れが溜まっていたのかそのままシリアちゃんの太ももで眠ってしまったようでした。はっと気が付くと、もう朝方が近い時間です。 「ごっ、ごめんシリアちゃん!寝ちゃってた!」 「ああ、起きたのね。うん、顔色も良くなったみたいだし、町まで先導するわ」 シリアちゃんの方は夜型だからなのか、ずっと普通に起きていたみたいでした。しばらくシリアちゃんに頭が上がらなそうだな、これは。 森の中を迷いなく歩いていくシリアちゃんについていくと、見慣れた施設の傍らに出てきました。ここからなら自力で自宅まで帰れます。 「ありがとう、シリアちゃん。もう大丈夫だよ」 「・・・ねえ、カメラマンさん。一ついいかしら」 「えっ、何?」 不意にシリアちゃんが真剣なまなざしで私を見つめます。 「今、この町で女性を襲う連続殺人鬼は知っているでしょ。もし、その正体が私だとしたら、どうする?」 「ええ!?そ、そうだなぁ・・・自首を勧めるかな」 その答えを聞いて、シリアちゃんは寂しそうに目を伏せました。 「・・・そうよね、それが普通よね」 「うん。それで、シリアちゃんが罪を償って出てくるのを待ってるよ」 「は?」 今度は驚いたように私を見ます。その後、急に笑い出しました。 「やっぱりあなたって、天然なのね。殺人鬼は昨夜までで50人は殺してるのよ?死刑に決まってるじゃない」 「あ、そ、そっか。それで、何で急にそんな質問?」 「私にも少し悩みがあったのよ。でも解決した」 シリアちゃんは朝日をバックに、優しい微笑みを浮かべていました。何だか分からないけど、役に立てたなら少しは恩返しになったかな。

コメント (7)

猫団子🐈‍⬛🍡
2024年11月21日 12時36分

早渚 凪

2024年11月21日 15時15分

サントリナ
2024年11月21日 03時16分

早渚 凪

2024年11月21日 12時08分

ぜんざい

あら~~(顔をうずめてすんすん)

2024年11月20日 23時38分

早渚 凪

ミニスカートで膝枕をする方も責任はあるんじゃないかな!

2024年11月21日 12時08分

Jutaro009
2024年11月20日 23時02分

早渚 凪

2024年11月21日 12時06分

JACK
2024年11月20日 17時35分

早渚 凪

2024年11月20日 22時18分

ルノハ:停滞中
2024年11月20日 16時30分

早渚 凪

2024年11月20日 22時18分

五月雨
2024年11月20日 15時47分

早渚 凪

2024年11月20日 15時59分

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 全年齢~R15を中心に投稿します。現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っています。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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