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妖怪『猫吸い』

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2024年09月25日 15時00分
参加お題:

『それはあたかも青黒い蛸のように見えた。魚のような生臭い臭いが鼻をついたからやもしれぬ。しかし私は何やら悪寒を覚え、その軟体生物に近寄ることを思いとどまった。かの生物は、無数に生えた触手をふらふらと揺さぶって鈍重な動きで這いずって、私から離れてゆく。 と、ふいに私の傍を通り抜け、触手に近寄るものがあった。妻の愛猫であるミィコだ。ミィコはふらりふらりと揺れ動く触手を追いかけて、懸命に前足で押さえつけようとしていた。狩猟本能というものだろう。 刹那の事であった。ミィコの後ろから触手の一本が這いより、ミィコの尾を絡めとった。次いで後足、胴、前足と触手が襲い掛かり、ミィコはたちまち軟体生物に呑み込まれてしまった。私が、あっ、と声を上げる間も無い尋常ならざる迅さの狩り。そう、狩りであった。 ミィコがみぃみぃと悲痛な声を上げる中、私はただ恐ろしさにがたがたと震えるばかりであった。触手の何本かはミィコの体を貫き脈動している。そのたびに、小さなミィコの体がさらに小さく、小さく萎んでいくのが見て取れた。 いかほどの時が流れただろう。四半刻も経ってはおるまい。私が我に返ると、蛸は姿を消していた。かの怪物がここに在った証拠といえば、床に残るてかりてかりとした這いずり跡と、毛皮と骨ばかりになり果てたミィコの亡骸だけであった。』 玄葉がバーチャル配信者になりたての頃、オリジナルの怪談を創作する上で何か妖怪や怪異を考えてみて欲しいと言われたので、上記のような話を玄葉にしてあげました。私が語り終わるのを聞き終わった玄葉は一言「人の心とかないんか?」と言い捨て、三日間もの間不機嫌でした。時代小説っぽいテイストの語り口なのに、猫の名前がミィコなのがミスマッチでリアリティが足りなかったのが玄葉のお気に召さなかったのかなぁと反省しています。 ちなみに、この妖怪の詳細な設定は以下の通りです。 名前:『猫吸い(ねこすい)』 大きさ:触手含め直径25cmほどのかたまり。伸ばした触手の長さは約150cm。 特徴:ゆるやかに這いずりながら移動する。水陸両方で活動でき、山や海辺のみならず人里にも現れる事がある。 体からは魚のような臭いを放ち、触手を揺さぶる事で猫を引きつけ、猫が触手の一本に気を取られている内に他の触手で素早く捕らえる。捕らえる際の動きは非常に敏捷である。猫の他にも自身が押さえつけられるだけの体格の動物であれば何でも好んで捕食する。 獲物を捕らえると、触手を突き刺して消化液を流し込み、獲物の肉や内臓をどろどろに溶かす。獲物の肉が溶けると、触手からじゅるじゅるとその肉を啜って空腹を満たす。 極めて生命力が高く、切り刻んでも火で焼いても時間がたてば再生する。凍らせて動きを封じておけばとりあえず凍っている間だけは無害だが、氷が溶ければ何事も無かったかのように活動を再開する。

コメント (5)

猫団子🐈‍⬛🍡
2024/09/26 12:12

早渚 凪

2024/09/26 13:20

うろんうろん -uron uron-
2024/09/26 11:41

早渚 凪

ヘタレにゃんこは猫吸いに襲われても白うさちゃんが助けてくれるでしょうから大丈夫。安心して絡めとられてくださいね。

2024/09/26 13:20

ルノハ
2024/09/26 10:52

早渚 凪

2024/09/26 13:17

thi

猫と蛸、クトゥルフの要素がつまった妖怪です

2024/09/25 23:24

早渚 凪

語り部のところもクトゥルフ神話っぽい文体を意識してみました。見ただけでは正気度は減らなくても、狩りを見ればSANチェックでしょうね。

2024/09/26 13:17

白雀(White sparrow)
2024/09/25 21:48

早渚 凪

2024/09/25 21:54

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投稿

2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 全年齢~R15を中心に投稿します。現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っています。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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