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見て話しなさい
「まったく、場所と格好を考えなさいよ・・・・・・」 スーツ姿の銀髪の美女が、下を見ながらぶつぶつ言っている。 ビシっとしたグレーのスーツは、外資系大手商社の重役秘書か、 若手女性実業家、はたまた映画から抜け出てきた女スパイかも。 ここ皇居周辺では、その手の外人美人がいないでもない。 サングラスもまあ、ありかもしれない。 ただ、サングラスの下で伏し目がちにしながら、横目で伺っている対象が問題だ。 (ほら。やっぱり・・・・・・) 首都警察の本庁が、この皇居の近くにあるのだ。 制服姿の警官が、ブルマ姿の監視対象に違づいていく。 とそこに、 「もしもし、あ~、エクスキューズミー?だっけ。そこの女性、ミス?」 片言にもなっていない英語の単語まじりで、スーツ姿の彼女にも声が掛けられる。 若い警官だ。 「はい、なんでしょうか」 ネイティブに近い日本語で向き直ると、制服警官は少し驚きながら質問する。 「あなたは、あの・・・・・・」 とそこで、相方が近づいている、ものすごく目立つ格好をした少女にちらりと目をやって、慌てて反らす。 「あのお嬢さんと、知り合いですか」 「さわらない(かかわらない)方が良いですよ」 そっけなく告げるシルビア伍長に。 「ほっ、本官が触るわけないであります!!」 若い警官は大声を張り上げるのだった。