1 / 3
闇の中の星
「ニータ、隠れていては、出てきて一緒に星を見ていたな」 隣に座る母の言葉も他所に、 狐耳の幼女は、何かを思い出したかの様に夜空を見上げている。 そして…… 「ありがとう、お母さん、おかげで落ち着いたよ」 星空を背後に、母を振り返ったダキニラの顔は、悩みが晴れた輝きに満ちていた。 すると、6歳ぐらいだった幼女の体は次の瞬間16歳ほどの成長した姿に代わる 「それは良かったな。もっと頼ってくれてもいいんだぞ」 「ううん、大丈夫、あたしの友達だからね。でもたまに……」 途中で自信なさげに顔を伏せる娘の頭を、アーゼリンは優しくなでる。 「こうやって撫でるだけでよいのか」 ダキニラの茶色の髪をなでると、その隣にある狐の耳がぴくぴく嬉しそうに反応する。 と、そこで。 「それそろ、目覚める時間だな。眠りが浅くなってきたようだ」 「う……ん、なんか、眠く、なってきた……」 『闇にて輝く星もあり』 夢の中で満点の星の元、眠りに落ちるダキニラの耳に、静かながらも心地よく暖かな声が響いた気がした。