1 / 3
戦場からの返信
『その後、再度査問が行われた結果、あの訓練実施を強弁した高官の不正が発覚しました。 どうしても、あの訓練を実施する都合があったらしいのです』 砂漠のテントの元、隊長はかつての部下からの手紙を読んでいる。 新兵器の納入に関して不正が行われたため、欠陥のある兵器を使わされた挙句、隊長の部下たちは失われた。 隊長が責任を負うことで事故の顛末は幕引きがされたと一度なったが。 言葉は濁しているが、その手紙は隠匿されていた真相が暴かれたことを伝えている。 兵器の選考に当たって何らかの陰謀があったのだろう。 『中隊長の名誉は回復されました。いつでも戻ってらして大丈夫です』 隊長は、手紙を読み終えると、ランプの明かりの元、返信をしたため始めた。 『こんな自分のために手を尽くしてくれてありがたく思う ただ、自分の部下が失われたことに、指揮官として責任を取らねばならぬ事に変わりはない それに、今また自分には新たな部下達ができた 彼女たちを見捨てるつもりもない』 「そうですか。中隊長は、何処にいても中隊長なのですね……」 富士見2等軍曹は、手紙を読み終えると、丁寧に折りたたんだ。 予想に反して、隊長が新たな部下たちと共に戻ってきたのは、それからさほど経たないうちだった。 その部下の一人、ブロント少尉が、予想外の人となりだったのは、言うまでもない。