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わんことかわいいクマさん
「人間の街は、美味しいものがたくさんあるクマ!!おひるごはん楽しみクマ」 クマ獣人らしき少女が、ドワーフの女戦士と連れ立って歩いている。 「チェチェ、どのお店にするクマ」 二人とも、可愛らしい小柄な少女に見えるが、圧倒的な戦闘力を誇る獣人と、熟練の冒険者だ。 言わずとしれた『魔物食い(モンスターイーター)』チェルキーと、腹ペコくまさんプーにゃんだ。 「あっと、ここだよ」 チェルキーが食堂の先だって食堂のドアを開ける。 「いらっしゃいワン デリシアの巫女様」 小柄な店員が出迎える。 かれは、犬そのもの、コーギー犬の顔に体で、直立した姿をしていた。 チェルキーは、こう見えても、料理と食事をつかさどる女神、 デリシア神の神官なのだ。 もっとも、食い意地がはりすぎているので、神官の修行はまだまだ足りないが。 「お連れの方は、はじめて・・・・・・。 ひいぃ!!」 店員は、チェルキーの後ろにいたプーにゃんの姿をみて悲鳴を上げる。 「わんこが立って歩いているクマ?」 ぷーにゃんは、店員の恐怖の表情に気づかずに、不思議そうに首をかしげる。 「いっ・・・・・・、いらっしゃい、わん」 「かれはコボルトだよ。コボルトは弱いけど、頭は悪くないし手先が器用でご主人様に忠実だからね。 料理屋とかではよく働いているよ」 (まあ、ぷーにゃん、クマだし・・・・・・) おびえ切っているコボルトを、プーにゃんに紹介しながら頭の中で思う、そのクマを喰おうとおびえさせたチェルキーである。 「そうなのクマ?山の中のコボルトは、狼や狐と似たように見えるクマ」 「町にいるコボルトは、働き者で忠実だから、特にかわいがるご主人もいるみたいだよ」 そういわれて、コボルトをジーとみるプーにゃん。 「可愛いクマ!!」 突然コーギー犬そっくりなコボルトを抱きしめた。 (ぷーにゃん、食い意地だけじゃなかったのね) (こっ、怖いワン~)