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真女島の秘密
「なんであたしだけ」 美菜子はぼやきながら船を降りる。 休暇に、会社の仲間5人で 仲間の一人、由貴オススメのリゾート地、 真女島に来る予定だったのだが、 彼女一人、急な仕事が入ってしまい 一人だけ遅れて来ることになったのだ。 「えっと、これかな」 着く前に連絡を取ったところ、 由貴たちは「水中観光船」に乗っているということだったので、 彼女はそのメッセージに従ってその乗り場に来た。 「美菜子さん、ですか」船の上から、女性が声をかける。 「はい」 「由貴さんから伺ってます。水上で合流しますので、どうぞ」 「あ、ありがとうございます」 美菜子は、女性に従って船に乗った。 水中観光船とは、船の中から 水中を眺めることができる観光船である。 「合流地点」に向かう船内で、美菜子が水中を眺めていると 突如、それらが現れた。 「え!なに!」 それは人間なのか、何なのか 「お迎えが来たようです」船の女性がそう告げる。 すると、その水中に、見覚えのある顔が現れた。 「ようこそ、美菜子さん」 ガラス越しだが、はっきりとそう聞こえる。 それは、由貴、いや由貴の顔をした何かだった。 「ちょっと、なんなの!」 「お迎えに来たんです。私たちの世界へ、ようこそ」 「私たちの世界って?」 「すぐにわかります。美咲さんたちも先に行っていますよ」 美菜子はわけのわからぬまま、周りをそれらに囲まれたまま、船に乗せられて行った。 「ちょっと・・・なによ・・・」 その、イルカ人間のような者たちに連行されて来たところは、洞窟のような場所だった。 広い空間に、たくさんの透明な柱が立っている。 その透明な柱の中に、何かが入っていた。 よく見ると・・・・ 「美咲さん!優佳ちゃん!」 柱の中で、見覚えのある顔の女性が浮遊している。 「もうすぐ彼女たちも、仲間になります」 由貴が、微笑みながら言う。 「仲間って、なによ!?みんなに何をしたの!?」 「すぐにわかります。美菜子さんも、仲間になってもらいますから」 由貴の言葉に、背筋の冷たいものを感じる美菜子。イルカ人間たちが、彼女を連れて行こうとする先に、中身が空の、透明な柱があった。 「いや・・・イヤよ・・・」 「怖がることはないですよ。美菜子さんも、美咲さんたちと同じように偉大なるラ・ゲオンの民になって、地上を我らの物にするのです」 「何言ってるの!」 柱が開く。抵抗する間もなく、その中に押し込められる美菜子。 柱の中が青白い液体に満たされていく。美菜子は耐え切れずその液体を飲み込んでしまうが、不思議とそれは苦しくなかった。 力が抜けていく・・・・何かが彼女の身体にまとわりついてくるようだが、彼女はもうどうすることもできなかった。 そして、朦朧とする中、彼女の意識にそれが流れ込んでくる。そしてやがて、彼女はそれしか考えることができなくなった。 (偉大なるラ・ゲオン・・・我らはラ・ゲオンの民・・・偉大なるラ・ゲオン・・・) おわり