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Phalaenopsis Queen
ある日突然、若い女性たちの頭部に胡蝶蘭のような花が咲くという現象が起こった。 花が咲いた女性たちは、意志を失ったように、まるで植物のように無表情で立ち尽くすだけになってしまう。 まるで伝染病のように、その現象は広まっていった。 ただ立ち尽くす女性たちの身体は徐々に変化し、まるで金属の鎧に包まれるようになっていった。 原因も対策もわからぬまま、その現象を発現する女性は増えて行った。 そしてある日・・・・ 今までただ立ち尽くしているだけだった女性たちが、突然何かに操られるかのようにゆっくりと歩きだした。 彼女たちは、やがてその目的地なのか、 都心の大きな公園に集まると、立ち並び動きを止めた。 そして遠巻きに人々が見つめる中、その彼女たちが立ち並ぶ中心部に、なにか小さな竜巻のようなものが起こる。 そして、竜巻が消えると、そこに、それがいた。 全身をその、胡蝶蘭のような花で包まれたその女は、頭部に花を咲かせる女性たちを見回すと妖しげな微笑を浮かべ、口を開いた。 (ァ~~ァァ~~~) なにか声にならないような悲鳴のようなそれは、人々にもはっきりと聞こえた。 そして次の瞬間・・・・ 女性たちの花が一斉に散り始めると、そこに果実が膨らみ、 ババババババ! 果実から、無数の種子が、ものすごい勢いで発射される。 種子は鉄砲玉のように次々と人々を捉えた。種子を体内に打ち込まれた人間は、たちまち頭部に花を咲かせ、そこに無表情で立ち尽くした。そしてしばらくするとやはり果実を膨らませ、また人々に向かって種子を発射した。 しかも、どうやら果実を作るのは女性だけのようだ。種子を打ち込まれた男性は、花は咲くもののそのまま養分を吸い取られるように朽ち果てて行った。 頭部に花を咲かせた女性たちは、いまや次々と増殖しながら 都心を阿鼻叫喚の地獄へと変えていった。 そしてやがて、地獄は世界中へと広まっていった。 おわり その昔?シャニダールの花、ていう映画があって 花が静かに侵略というか、人を滅ぼしにかかってる?ような映画だったんですが、 ワタシ的にはいまいち消化不良だったんですよね・・・・苦笑 そんなわけで、胡蝶蘭の女王様の侵略でした。