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不思議な少女と秘密の伍長
「ここね」 サングラスをかけて、黒いスーツを纏った銀髪の美女が、大手出版社の前でつぶやいた。 「だれすか。ありゃ。えらい美人さんですが。まるで映画に出てくる女スパイみたいだ」 「ばっ、ばか!!そんなわけないだろ!!」 「困りましてよ。このような写真を撮られては」 スーツを着た銀髪の美女は、嫣然と微笑みながら告げる。 「あっ、いや、そのカメラマンは当社の社員ではなく……」 机の上に広げられた写真を目をした編集長の顔色が変わる。 その写真は、金髪をポニーテールにした軍人らしき少女の隠し撮りだ。 軍服姿は勿論、私服、コスプレ衣装、はたまた体操着で運動中の写真まであった。 「アルバイトのカメラマンとはいえ、管理の責任はありますよね」 「えっ、はっ、はい。確かに監督不行き届きでございました。」 美女に問い詰められた編集長は、しどろもどろに問いかける。 「では、今後このようなことがないように願いますね」 「はっ、はい。承りました。シルビアさん……」 銀髪の美女は、護衛を引き連れると応接室を出て行った。 「まったく、あの馬鹿の尻ぬぐいも大変だわ……」 シルビア捜査官、いや、シルビア伍長はサングラスを外しながら呟いた。