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女王陛下の叔父夫婦?
「よくぞ参られたな。アーゼリンどの。お会いしたいと思っていたのだ。」 貧相な中年貴族にエスコートされて玉座の前に立ったダークエルフを、若き女王が歓迎する。 「公爵もご苦労。アーゼリン殿をエスコートできる殿方は、卿をおいてはおるまい」 見た目は貧相な中年貴族にも、女王はねぎらいを忘れない。 中年貴族が、高名な吟遊詩人にして強力な冒険者でもあるアーゼリンの、結婚こそしていないが、子まで成した親密な関係であることは、周知の事実だからだ。 それだけではなく。 「ははは。身に余る光栄でございます」 「そのようなことはないぞ。只人(ヒューマン)で、私を力でねじ伏せることができたのは、あなただけだ」 「はっはっは。照れますな。 ・・・・・・、 おや、陛下、お顔が赤いですな。風邪でも召されましたか?」 「……、だまれ。痴れ者……」 天然で問題発言をしれっと零すアーゼリンと、この国最強の騎士でありながらも何事も飄々と受け流す中年貴族は、ある意味お似合いのカップルだった。 (どうやったらこの二人からシルビアみたいな娘が生まれるんだ?) 女王は、従妹にあたるハーフエルフの魔術師シルビアの両親を見ながら、心の中で頭を抱えた。