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子どもと鬼と半妖精
学び舎の教室の中で、子供たちが暴れまわっている。 「こら~!!みんな、ちゃんと座ってお話聞きなさい!!」 年若いハーフエルフの女教師が声を張り上げようが何のその。 賢者の学園の、臨時公開クラスだ。 学園には、魔術師、賢者、貴族、平民に関わらず公開された講義がいくつかある。 これは、子供たちに、社会勉強的に魔法の基本を教える講座なのだが。 勿論、子供たちは普段みなれない学園に興奮して、若いお姉さん先生の言うことなど聞くわけがない。 シルビアは魔法学園の職員として籍があり、今回王都に戻ってきたので、小さな子供向けの講義を押し付けられてしまった。 子どもたちがようやく大人しく席に着いた頃には、シルビアはぐったりと疲れ果てていた。 (まったく、大変だわ……。お兄様はうまくやっているのかしら) 彼女は、同じく学園に、体術・内功術(エンハンサー)教官として籍がある、兄についてふと考える。 オークである彼も、何かの臨時講座を押し付けられたはず。 そのころ 「わー、すご~い」 「何人でも来るが良い。我はびくともせんぞ」 「僕も内功術覚える!!」 ゴルドンは、子供たちを両手両肩に乗せて、楽しそうに仲良くやっていた。