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魔術師・銀狼・白犬と
アーゼリンたちは、調査のために王都まで戻ってきた。 途中、騎乗部隊の伝令兵が襲撃された件や、市外で火災が起こったために足止めされていたのだが。 王都に入ってしまうと、人と情報の流れが多すぎて危ないとの判断だった。 とりあえずの安全は確認されたので、王都に入ったのだ。 取り合えず賢者の学園に籍があるシルビアは、学園に戻ることになった。 賢者の学園は、変人の集まりと理解されているので、何か奇特な物事があっても許容されるという事で。 途中でついてきた白犬……、をシルビアが預かったのだが。 虎に関しては知らない。アーゼリンの良くわからないコネで、サーカスにでも預けているだろう。 だがこの白犬、まだ子犬らしいのだが。 「この子、銀狼とか言ってたけど……、本当かしら……」 確かに毛並みは白くて、鼻が鋭くて耳が三角形の狼顔をしているのだが。 そして、やけに賢くて、こちらを見透かす様な視線を向けることがある。 「神の眷属……、ねえ~」 シルビアは、疑わし気に白犬をなでた。 「僕は、神獣王様に使える、誇り高い巫女の一族だぞ!! 信じない、悪い半分エルフはお仕置きするぞ!!」 ・・・・・・ 「うーん、う~ん・・・・・・」 ベットでうなされているシルビアのほっぺを、傍に寝ている白い狼が、優しく舐めた。