1 / 3
【楽曲付き】探偵とBARに行く
※江楠真姫奈のイメージソング「Mastermind」をSunoで作成しました。jazz-rock.verとjazz.verの2パターンあります。無料会員なのでアレンジではなく、『同じ歌詞の別の曲』です。 jazz-rock.ver https://suno.com/song/f2433e10-60ee-4ca9-bc29-c73b533c6e4b jazz.ver https://suno.com/song/334387a0-31fa-4945-a34c-d701b8bcde80 元々は「探偵と言えばBarとジャズ」という偏見からjazzで作っていたのですが、jazz-rockでも中々キャッチーなものが出来たので両方あげちゃいました。 個人的にはjazz-rock.verの方が好きです。サビのノリとか英語のコールの具合とか。 前置きが長くなりました。以下から本編エピソードです。 玄葉の裸を見てしまった私は、夜になった町を歩いていました。ビジネスホテルでも探そうかと思っていたところ、不意に後ろから声をかけられます。 「おい、早渚君じゃあないかね?見たところ仕事中じゃなさそうだが、何をしているんだい」 江楠さんでした。いつものように腕を組んで不敵な笑みを浮かべています。 「・・・ふむ、ヒマなら付き合わないかい?いい酒を出す店を知っているんだ」 江楠さんに連れられてきたのは小さなバーでした。店内には小さ目な音量でジャズミュージックが流れていて、中々いい雰囲気です。硬すぎず、雑すぎずといった感じです。 「で、女と揉めたんだろう。いや、事によると女を揉んだのか?」 「揉めた方です、揉んでません。なんで分かるんですか、それも探偵の手腕ですか?」 「左の頬にそんな紅葉を貼り付けておけば誰でも想像つくさ」 ああ、玄葉に叩かれた頬が赤くなってるのか。そりゃ気付きますよね。私は江楠さんに何があったか話しました。江楠さんはワインを傾けながら話を聞いてくれました。 「ふぅん、妹の裸を見たから今日は距離を置いておこうとしてるのかい。まあいいんじゃないか、家族の問題だしねェ。私が口出す事じゃなさそうだ」 「まあ、そうですよね。ちなみに江楠さんは、もし家族に裸を見られたら許せますか?」 「ククッ、面白い事を聞くじゃないか。何を隠そう弟を大人にしたのは私だぞ」 「あっすみません私は何も聞いてません」 だめだ、この人相手に振るならもうちょっと公共の場で出せる話にしないと何言い出すか分からない。 「別に隠すような事じゃない。この国の司法で私を裁くなら現行犯以外無理なんだからねェ。せっかくの機会だ、何か聞いておきたい事があれば質問しておくといい。君にはいろいろと借りがあるし、今なら酒の勢いもある。口を滑らせるかも知れないねェ?」 江楠さん、酒には強そうだし実際そんなに酔ってないだろう・・・とは思いましたが、江楠さんに何か聞けるのは貴重かもしれません。 「じゃあ、江楠さんの大目標って何ですか。人を脅迫したりしてるのを見る限り、何か大きな目的があって普通じゃない手段をとってるようにも見えますよ」 「おおっと、それを聞くかい。そうだねェ・・・危険が及ばない範囲で話そうか」 え、この話題でも危険性あるのか。何企んでるんだこの人・・・。 「二つあってねェ。一つ目はうちの実家『江楠組』と絶賛戦争中の国際テロ組織の壊滅だねェ。知ってるだろ、『テロリン』の名前は」 「中東地域発祥の最大級武装テロ組織じゃないですかそれ!全世界に構成員が潜り込んでるって噂さえありますけど」 「実際日本人の構成員もいたしねェ。ちょいちょい逮捕させたり“掃除”したりしてるんだがなかなか減らないんだこれが」 探偵の仕事じゃないだろ・・・テロ組織の壊滅は。 「もう一つの方は何なんですか?まさか、世界征服とかじゃないでしょうね」 「近いかもしれないねェ。世界中の情報網の把握をしたいのも事実だ。ただ、その先にある目的は実につまらないものだよ。・・・笑わないかい?」 江楠さんは不意に不安そうに私を上目遣いで見てきました。私が頷くと、少し顔を逸らして恥ずかしそうに漏らしました。 「母親を探しているんだ。私が8歳の頃だから20年前になるかな、家を出て行ったんだ」 「お母さん、ですか」 かなり意外な答えでした。そんな平凡な理由で、人の脅迫とかしてるのかこの人。なんか手段が大げさすぎるような・・・。 「警察に探してもらうとかは無かったんですか?」 「世界中ふらふらしてる人だし、見つけた後の事を考えると警察はナシだねェ。厄介な事情があるんでねェ、私の母親についての詳しい話は人目につかない所の方がいいな。日を改めて・・・いや、待った。早渚君、今日の宿は決まってないんだね?」 「え?ええ、決まってませんが」 「よし、君さえよければ私とホテルインしないかい?ベッドの中で語ってあげるよ」 思わず酒を吹き出しそうになりました。意外と酔ってるぞこの人! 「よくありません!」 「ちっ、ガードの固い。まあいいか、君に手を出すと面倒な事になる予感しかしないのも事実だしねェ」 あっさり引いてくれました。まったく、顔が良いんだから冗談にしても心臓に悪いんですよね。 「・・・江楠さん、まさかこんな調子で酔い潰した女性をホテルに連れ込んだりしてるんじゃないでしょうね」 「えっ・・・い、いや、まさか?してないよ?」 してる顔じゃないか。 「江楠さん、ちょっとお話が」 「おっとすまない早渚君、仕事を思い出した。ここの払いは私が持つから、好きに飲んでいってくれ」 江楠さん、急に立ち上がって逃げていきました。今度会ったらお説教しないと。・・・いやその前に、今日の宿が決まってない!