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白いバラの花言葉は
「リリスさんが歌われたのはこちらで良かったかしら。」 周りの観客たちは、うらびれたライブハウスに現れた、幸運神の巫女に驚いた。 顔を出した白い修道服から、悪戯ぽさを感じる可愛らしい顔と、狐の耳がのぞいている。 このライブハウスは、反体制、反社会的な思想を持つ者たちが、その思いを熱唱する場所なのだ。 幸運神はそれほど厳格な宗旨を求めるわけではないが、表立っての悪事は戒めている。 そんな幸運神の敬虔な使徒であろう彼女は、迷いなく白いバラの花束をもって、今日のライブのメインのシンガーの前に進む 「リリスちゃん。あなたの歌声、とてもよかったよ」 花束を差し出しなら少し寂し気に称賛するダキニラ。 「にっ、ニータなんでここに」 リリスは少し困惑しながらも花束を受け取る。まんざらでもないようだ 「とてもいい歌声だった。聞いていて分かったよ。わたし、無神経なこと言っていたね」 そこでダキニラは、背中を向けた。 「できれば、私の生き方押し付けたりはしないから、その花束、受け取ってほしいな」 花束はわたした。 だけど、そこに込められた思いまでは。 ダキニラは地下にあるライブハウスの階段から出ていく。 リリスは、しばらく花束を抱えて見ていたが、立ち上がるとダキニラを追って、階段を駆け上った。 「おっ、おい、待てよ。プリーストの手が足りないんだろ!!手伝ってやる!!」 白いバラの司る意味は、純潔・無垢、友情・敬愛、尊敬や親愛の念、、別れ・哀悼、過去への祈り そして、「鎮魂」 昨日、王都の近郊で比較的大きな戦闘があったことはリリスも知っている リリスは、白い薔薇に込められた意味から、妥協点を見出したのだ。 ダキニラは、息せき切って、メイド服のまま地下から飛び出してきたリリスを、満面の家顔で出迎えた。