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朝の光の下で
(ちっ、こんな朝早く動き回るなんぞ、学生さんとやらはよっぽど暇なんだな こちとら、夜のウジ虫だ そんな暇なんぞねーんだよ) 毒づきながらいまいち似合わない制服姿で歩いているハーフエルフの少女 見るからに不機嫌そうな表情が、元からやさぐれて荒んだ表情で強調されている 「ねえちぇん、昨日寝られなかったんじゃねーの」 そんな彼女の前に立ちふさがる、不良学生らしき数人組 「そうだぜ、そんな野暮ったい服なんぞ脱いで、俺たちと続きしようぜ」 リリスの整った容姿と対照的な、やさぐれた雰囲気に引き寄せられたらしい 下卑た笑みを浮かべながら近寄ってくる 「けっ、いいぜ。こちとらいろいろ貯まってんだ。相手してやんよ」 「うーん、いい天気。今日も悪さ、うにゃ、お仕事がんばろ~」 伸びをしながら裏通りを歩いている、狐耳の盗賊少女、ダキニラ。 「おら!!続きやるんじゃないのかよ。あたいを、ひーひ、言わせるんじゃねーのかよ!!」 路地裏から聞こえてきた、かすかに聞こえてきた少女の怒声に、ダキニラは足を止める。 「ちょっ、ちょっと!!何やってんのよ!!」 地面に横たわる数人の不良学生を足蹴にして、さらにナイフを抜こうとしている、制服姿の少女を見て。 「やっ!!やめなよ!!」 「うっせー!!放しやがれ!!」 (こっ、この子、ハーフエルフなのになんて力なの?) ハーフエルフ、リリスの暴れる力はものすごく、しなやかに鍛えられたダキニラを振りほどかんばかりだ (仕方ないね) 『幸運の女神よ。昂ぶりし心を静めたまえ。静心(サニティ)』 ・・・・・・。 「いい加減離せ……。どこを触っている?」 パッ!! 「あっ、あはは。ごめーん。 ・・・・・・。 お詫びに私も触る?」 「・・・・・・、そんな趣味ねーよ」 「あはは。運動したらお腹空いちゃった。付き合わない?」 (調子くるうやつだな。 ・・・・・・。 幸運神の盗賊巫女ね) 気まぐれに、ダキニラの後に付いていくダークプリースト、リリスは、神聖語の呟きを、しっかり聞き取っていた。