Prototype 2024-04-16 (2)

樹海の魔物から逃れようとしたあたし達は、逃走中に地割れに巻き込まれて落下してしまう。 ロミが灯してくれた魔法の明かりに照らし出されたのは、巨大な地底湖のほとり。 どこまでも広がる地下空洞の先には、湖と向かいあうように無数の廃墟群がそびえ立っていた。 石造りの建造物の大半は倒壊し朽ち果てていたが、かつては壮麗な街並みだったことが窺い知れる。 「ここが件（くだん）の地下遺跡なの？　まるで、街ひとつが丸ごと飲み込まれちゃってるみたい」 「……あなたの認識は正鵠を射ているわ、レイリ。ここはかつて栄華を誇った帝国の中枢都市。過去に引き起こされた天変地異によって、地盤ごと地中深くへ埋没した帝都の慣れの果てなのだから」 魔法の明かりを宙へと浮かべ、ロミはこちらへ振り返ることなく呟いた。瓦礫の山をじっと見据えながら語る声音は、心なしか硬さを帯びている。