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冬の進行・迎撃@姫将軍・護国卿
1:騎兵隊を率いて先発するフロリアン王女 北に接するロブリシュの侵攻を伝えたのは商人だった。アヴェリの生家であるイデュイア侯ラナシス家は、新世界や東方も含め手広く海洋貿易を行い、莫大な財貨を得ている。 だが、アヴェリンがヴィルアの将軍となり、その王女を妻とした今、公然とロブリシュとの交易はできなかった。仕方なく周辺国の商人を代理として商いをしていた。 ロブリシュの異常というか軍事行動の兆しを察したのは、その代理商人たちだった。王都近辺の城塞や場外に兵が集結している。また、軍需物資と判断できる注文が増大していた。 商人らは相談した結果、アヴェリンに注進すことにした。2人が大規模な陸路の隊商を装い王都を出て、しばらく進んだところで一人が馬を馳せてヴィルアへ向かった。 アヴェリンは護国卿としてヴィルア王都ロアージュの王宮にあった。冬も訪れ北のほうでは雪も降ってきたから、外敵=ロブリシュを心配することもないだろう、と領地へ帰ろうと思っていた時だった。 そこへ飛び込んできたのが商人だった。 彼が言うには、自分が出立した時点でロブリシュ軍は少なくとも1万は集まっている。また、軍需と思われる要求の量からは、よほど長期間の出征か、あるいは1万規模の要を満たすほどだ、と告げた。 アヴェリンは知らせた商人に礼を述べ、近侍に褒賞と休む部屋、安全に帰れる手配を頼み下がらせた。 ここから諸侯、アヴェリンの側近らの議論が紛糾した。 ヴィルア諸侯らの多くは、イデュイアやヴィルアの者でもない商人の言葉など信じるに値しないと言う。スティクス(ルロア大公)の諸侯や臣下、一部の諸侯は万一に備えるべきだと主張する。 もしロブリシュの軍事行動が本当であれば、フレリック王の代に得た4城の奪還か、それを狙うと見せた別方向からの侵攻だろう。 少なくとも、アヴェリンは動かざるを得ない立場だった。この4城都はフレリック陛下、継いだリシャール・グリヴィエ陛下らと陥れた領土だ。帰順した諸侯、守備のためにも、守り通さねばならない。 アヴェリン「諸軍を集めよ。北進し迎撃する」 諸侯「ですが、ロブリシュの侵攻が偽り、と申さぬまでも誤報であれば?」 アヴェリン「ならば北伐に変えればよかろう? お我々にはロブリシュを誅伐する理由はいくらでもある」 かくして、アヴェリンは即応軍である自己の軍のうち、騎兵のみの編成による2500をフロリアンに委ねて先行させた。また、主街道ではなくすこし東方からの進軍を命じたのだった。 自身は残る自軍約1万と、王都周辺の部隊を編成しながら出撃した(3・4) フロリアン様: フロリアン「続いてるか?」 彼女が命じられたルートは平地ではなかった。すでに雪がつもっており、時に馬を降りて進むのだった。 先に異常を察すると、側近のミアが進み出てフロリアンを制する(7) 斥候&連絡員「ノステンへ敵が攻撃を開始しているとのことです」 (ノステン=アヴェリンが固執する4城都でもっとも西) フロリアン「諸将、諸兵。すでにロブリシュはノステンに達した。いずれ兄上が来着し撃退するだろうが、ヘルフーゴ、ヨレミアス、ロッホスに指一本触れさせるなぁ! これは私の命令だ!😡 全軍騎乗! 西へ!」