冷たさ
少女は小さな、古びた部屋に座っていた。壁の色は何度も塗り直されたようだが、そのどれもが剥がれ落ち、過去の色が微かに見え隠れしていた。彼女は狭いトイレの上に腰かけ、視線を落とし、手首に繋がれた手錠をじっと見つめている。手錠の冷たさが肌に伝わり、心の底にまで冷たさが染み渡るようだった。 目は涙で濡れており、その一筋一筋が彼女の頬を伝い落ちる。ここに閉じ込められ、時間の感覚すら失ったようだった。朝なのか、夜なのか、彼女にはわからない。ただ静けさが彼女を包み込み、その静寂が時折、恐怖心をより強くする。外の音が微かに聞こえたり、ドアの向こうで何かが動く音がするたびに、彼女は息を潜め、何が起こるのかを恐れて身を縮める。 部屋の中にはかすかなカビの臭いと、湿気のせいで重くなった空気が漂っていた。彼女の足元には、散乱した古い紙や、見たことのない機械の部品が転がっているが、それらに意味を見出すことはできなかった。彼女の世界は、この小さな部屋の中だけに限られてしまったかのようだった。 彼女は心の中で繰り返し問いかける。「どうしてここにいるのだろう」「どうしてこんな目に遭わなければならなかったのか」。しかし、答えは返ってこない。ただ空虚な静けさと、冷たい金属の感触が彼女の孤独を際立たせるだけだった。 それでも彼女は、心のどこかで諦めたくないという思いを抱えていた。誰かが助けに来てくれるかもしれないという小さな希望、それが彼女の心を支えていた。そしてその希望がある限り、彼女は耐え続けることができる、と信じていた。涙をぬぐい、彼女は静かに深呼吸をして、自分自身に言い聞かせる。「大丈夫、必ず終わりは来る」。それだけを頼りに、彼女はこの孤独な戦いを続けていくのだった。