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その正体は
(怪しいね) (これだけ調べても引っかからないなんて‥‥‥) ダキニラは、聞き込みに使った自作の似顔絵を手に呟く。 魔法女学院の生徒、エカティア 上流階級の子女が集うその学園の目立たない女生徒 しかし、その素性は‥‥‥。 この王国の貴族や上流階級、隣国にも該当する人物が見当たらない ダキニラの似顔絵描きの腕は確かだ 魔法女学院の一見地味ないじめられっ子 その特徴をよくとらえているのだが 似顔絵を持って調べても、いまいち正体がわからない (やっぱり変装しているよね‥‥‥) メガネやマントを外したり、私服のイメージを描いてみたり、バストアップにしてみたり、いろいろと書き直してみると 「おう、ダキニラ、珍しく本職に精出しているようだな」 新聞社の編集長が声をかけてくる もちろん、偽装した盗賊ギルドのマスターなのだが 「この頃、何が本職かわかんなくなるけどね‥‥‥」 ぼやきながら書き散らした似顔絵をつまむダキニラ 「うん?人探しか?えらく別嬪じゃ‥‥」 そこで、ギルドマスターは凍り付いたように言葉を切った 「そっ、その女‥‥‥」 「なっ、なんなの?」 異変を感じ取ったダキニラが言葉を待つ。 「そいつは‥‥‥、魔族だぞ‥‥‥」 ギルドマスターの蒼白な視線は、眼鏡をはずした、妖艶で大人びた似顔絵に固まっていた