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異界のひな祭り
「いったい何が始まるんですか・・・・・」 シルビアが不安げに母親であるアーゼリンに問いかける。 用意された席の周りには少し変わった様々な人形が置かれている。 シルビアもその中に混じると、大きな人形のような容姿と言えなくもない。 「私も詳しくは知らないが、東洋に伝わる人形供養の儀式らしいぞ」 アーゼリンの答えを聞いて、シルビアの顔が青ざめる。 「まっ、まさか……、騒霊魔法?」 人形に雑霊を呼び寄せ操ったりする魔法だが、質の悪い魔法だとアンデットの創造や使役も含まれる。 簡単なものだったらシルビアも使うことはあるが、禁呪とされる魔法も多い。 「シルビアもリモートドール(人形操作)やスケープドール(依り代人形)の魔法は使うのではないか。無関係では無いと思い呼んでおいた」 しれっと続ける母の言葉に、シルビアの顔色はさらに青ざめる。 「アーゼリン様、少し盛りすぎです」 とそこに、この東洋風の神殿(神社?)の主である東洋風のキモノを着た女性が現れて嗜める。 手には、彼女の服装と同じく東洋風の衣装を着た可愛らしい人形が抱かれている。 「本来は、女の子の成長と健康を祈るお祭りですよ。 ・・・・・・。 本来は」 周りの人形がわずかに動いた気配がして、シルビアの背中は瞬時に粟立った。