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戦乙女の眠り言
「……、もう朝ね……」 シルビアは、窓から差し込む麗らかな光を浴びながら起き上がる。 寝ぐせでぼさぼさの銀髪をそのままに、伸びをしようとして。 「ひっ!!だっ、だれ!?」 隣に、誰かが寝ているのを見て思わず息をのむ。 「お兄様の……、妹だったわね……」 ベットに寝ている、若いオーク女性、と言ってもかなりの美女の姿を見て、シルビアは息をついた。 すでに喫茶店での一件で顔を合わせていたのだが、昨日改めて引き合わされた。 彼女が兄であるゴルドンに、敵愾心をもっていることは伝えられている。 監視が必要との見解は一致した。 だが、腕の立つ戦士や盗賊などは戦意や敵意を向けられる可能性がある。 そのため魔術師のシルビアが、かの女、グレドーラの近くで様子を見ることとなった。 戦神の戦巫女ならば剣を扱えない魔術師には無体はしないだろう、との予測があった。 ダキニラとブロントは、彼女の背後を洗うために近く遠くで調査しているはずだ。 「う~ん、母親違いの妹か~」 同族でお互いが族長の子供、となると一筋縄ではいかない関係ではないか……。 シルビアは、グレドーラの寝顔を見ながらしみじみとつぶやく とそこで。 「……あにさま……」 「あら、猛々しい戦巫女様だこと……」 グレドーラの寝言を聞いたシルビアは、微笑むと乱れた毛布を掛けなおしてやった。