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隊長の過去と黒天使

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2023年08月31日 09時27分
対象年齢:全年齢
スタイル:イラスト
デイリー入賞 21
ウィークリー入賞 21

「中隊長、少しお時間よろしいでしょうか」 礼拝を終えた俺を呼び止めたものがいる。 今回の演習で、部隊の世話役につけられた、陸上自衛軍の女性軍曹だ。 「俺はもう中隊長ではない」 俺はかつての部下、富士見2曹に目をやると、そっけなく答える。 「私にとってはいつまでも中隊長のままです」 「少し話すか……」 かつては、俺の今の部下達と、同じぐらいの年頃だったのに、 今はすっかり軍人の顔になっているな 2曹とともに、手時かな喫茶店に入る。 「あら、やっぱり、あの二人、何か訳ありだったみたいね」 喫茶店の入り口近くに陣取っていた、二人組の少女。 金髪のポニーテールと、銀髪のロングヘアーの二人連れ。 変装しているつもりらしいが、異様な空気が駄々洩れである。 「しっ、静かに」 「副長、気になってしょうがないくせに」 金髪は溶け込んでいるつもり、銀髪は隠すつもりもない様子だ。 金髪は無意識になのか、サクランボの乗ったケーキをパクついてるし、銀髪はにやにや笑いをつづけている。 「中隊長、あの事故はあなたのせいではない。それは査問会でも明らかになったはずです」 「いや、あたら若い命が20人も失われたんだ。隊長なんていうのは、いざという時に、腹を切るためにいるもんだ」 中隊長と呼ばれた男の脳裏に、 墜落した2機のヘリ、焼きただれた遺体の様子が思い起こされる その中には、2曹の同僚や、部下も含まれていた 「それだったらなぜ、今また、あんな若い娘たちに戦争をさせて!!」 腰を浮かせ気味に声を荒げた2曹は、自分の声に驚いたように、あたりを見回す。 それに合わせて、若い娘たちもひょいと頭をすくめる。 「俺が手を貸すことで、彼女たちが生き残れるのならば、腹を切るのはもう少しまっても良いかとも思ったんだよ」 2曹は、かつての中隊長の顔をじっと見つめた後、ため息をつく。 「わかりました。せめて、金髪のあの娘、(かわいらしい少尉殿は泣かせない)でくださいね」 最後は小声で続ける2曹 「ばれていたか」 2曹の洞察に、隊長はきまり悪そうに肩をすくめる 「当然です。私も女ですから」 何かをふっきるように言葉をつづける2曹。 「さて、私は用事ができましたから、中隊長。先に戻ってもらってよいですか」 「ああ、すまないな。よろしく頼む」 何か察するものがあったのか、隊長は伝票を手に店を出て行った 「ふぅ~、なんか深刻そうな様子だったね」 頭をすくめて、大人な二人の様子を覗いていた金髪ポニーテールは、相方の銀髪ロングに話しかけようとして、 「あれ!!いない……」 ついさっきまで、隣にいたはずの銀髪ロングことシルビア伍長の姿が消え失せていた。 そこでふと目の前に人影が立ったので見上げると……。 「ブロント少尉、あなたは、諜報任務の訓練を受けていないようですね。 お供の伍長はなかなか優秀みたいですけど……。 さて、諜報員が捕まったら、どんな尋問を受けるかの、実地訓練を具申いたします」 可愛い顔立ちの、黒髪の2等軍曹が、鬼の形相で拳を握りしめていた。

さかいきしお

コメント (2)

yuyu
2023年08月31日 23時23分

さかいきしお

2023年09月01日 00時34分

Aika

ブロント少尉ピンチ!w

2023年08月31日 12時28分

さかいきしお

2023年08月31日 13時02分

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