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透明な傘と色濃い記憶/スマホ壁紙アーカイブ

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2025年04月20日 17時08分
対象年齢:全年齢
スタイル:イラスト

【透明な傘と色濃い記憶】 最近、透明な傘のことをよく考える。 あの、ビニールでできた安いやつだ。俺にとって傘といえば、あれなんだ。 一年前、ある女と別れた。 正確に言えば、「別れた」というより、「自然と会わなくなった」ってやつだ。 世の中には、そういう関係が思ったよりたくさんある。別れる理由も、つなぎ止める言葉もなかった。ただ、薄く消えていった。コーヒーに溶けたミルクみたいに。 最後に見た彼女は透明な傘を持っていた。 雨が降ってたかどうかは覚えていない。というか、たぶん降ってなかった。でも彼女は傘を持っていた。俺はその風景を、今でも割と鮮明に覚えてる。 それからというもの、傘を持つとき、無意識にあのタイプの傘を選ぶようになった。 俺はロマンチストでもないし、過去に執着するタイプでもない。 だけど、何かの拍子に“習慣”になってしまった記憶ってのは、簡単には消えないものだ。 たまに都市の高いところに立つ。 ネオンがぼんやりと煙に滲んでいて、空気がうっすらと冷たい。 そんなときは、例の傘を開いてみる。もちろん、雨は降ってない。 でも、開いてしまう。そういう日がある。 この前もそうだった。 ビルの屋上で傘を開いて、ただしばらく突っ立っていた。 そうしたら、不意に風が吹いて傘がちょっとだけ揺れた。 一瞬、彼女の香りが鼻をかすめた。そんな気がした。

コメント (3)

五月雨
2025/04/21 14:19
ガボドゲ
2025/04/20 23:25
謎ピカ
2025/04/20 19:42

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心ときめくスマホ壁紙をお届けします✨ 眺めているだけで、ふと気持ちが動くようなものを目指しています。 テーマは「誰も作らないようなもの」。定番から少し外れた視点で描いています。 関心を持っていただけた方はフォローしていただけると嬉しいです♪ 読み方:ジェネレーションユーアイ

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